ポートフォリオに債券ETFを組み入れてみませんか?
投資というと株式の方に目が行きがちで、銘柄紹介も株式ばかりな印象です。株式の銘柄は選べても、債券の銘柄を選ぶのに情報が足りない人が多いのではないでしょうか?
債券は、株式市場が落ち目のときに、資産を支えてくれる守護神になります。なるべく資産を減らしたくない人は、ポートフォリオの一定割合を債券に振り分けてみましょう。
ただ日本国債の債券は利回りが低すぎるので、米国を中心とした債券がオススメです。この記事では米国債券ETFの中でも、人気のあるジャンルを一挙紹介しています。
選び方のポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
なお「債券の基本的な用語」や「利率と利回りの違い」「債券価格と金利の関係」が、いまいちピンと来ない人は、債券の基礎を解説した記事をサッと目を通してもらうと理解が捗ると思います。
債券こそETFが優れている理由
株式にしても、債券にしても、個別銘柄に投資するアイデアもあれば、ETFで丸っと投資するアイデアもあります。
株式ではETFの存在感が日に日に強まっているように感じますが、個別銘柄で大儲けするシナリオも健在です。ETFでリスクを抑えて着実にリターンを得るか、個別銘柄で5倍・10倍を狙うかはその人次第。
一方で債券の世界には、個別銘柄でドカンと一発大儲けのシナリオが存在しません。債券は発行時点で、償還までに受け取れる金額が決まっているので、株式のように青天井にならないからです。
格付けにもよりますが、個別銘柄にはデフォルト(債務不履行)のリスクがあります。また残存期間によって、リスク・リターンが変わってしまうので、その管理も必要。加えて、個別銘柄は流動性の観点で不安があります。
これらの問題は、ETFを選べば全て解決します。リターンは変わらず、リスクと手間を減らせるので、債券投資はETF一択だと思います。
債券ETFの選び方
この後に、メジャーな米国の債券ETFをたくさん紹介していきます。自分に合った銘柄を選ぶためには、「格付け」と「デュレーション」をチェックしましょう。
選び方①:格付けで選ぶ
債券には、外部の会社がつけた「格付け」があります。格付けが示しているのは「信用」。格付けが高いほど、財務が健全で、額面通りに返済してくれる可能性が高いということになります。
誰だって、信用が低い人にお金を貸したくありません。そのため信用が低い発行体は、高い利回りを出さなければお金を借りられないのです。
そのため債券の格付けは、
- 格付けが高い債券:利回りが低い
- 格付けが低い債券:利回りが高い
という構図になります。
ここで気にしなければならないのは、格付けによる値動きの違いです。
格付けが高い米国債などは、デフォルトのリスクが事実上0なので、不況になろうが価格はほとんど下がりません。むしろ落ち目の株式から債券に資金が流入し、価格は上がる傾向にあります。
株式暴落時に、資産価値を守る目的で債券を使うなら、高い格付けを選びまよう。
一方で、格付けが低い債券は、不況で資金繰りが悪化すると、デフォルトのリスクが高まります。そのため不況になると株式と一緒に価格が下がってしまいます。
キャッシュフロー目的で投資をする(つまり現金の配当が欲しい)なら、格付けの低い債券が良いかもしれません。ただし株式暴落時のクッションにはならないので注意しましょう。
格付けのより詳しい定義や、格付けの違いにより値動きや利回りの違いについては、格付けの詳細記事で解説しています。
選び方②:デュレーションで選ぶ
「デュレーション」は、ほとんどの人にとって聴き慣れない単語だと思います。これは、金利が1%動いたときに、どれほど債券価格が変動するかを表した指標です。
デュレーションは「年」の単位で表され、債券の残存期間に比例して長くなります。
債券価格と金利は逆に動くので、デュレーションが「3(年)」なら、金利が1%上がると、債券価格は3%下がります。(*債券価格と金利は逆に動きます)
投資の世界では、「値動きの激しさ=リスク」。残存期間が長いほどハイリスク・ハイリターンということです。
ただ格付けで見てもらったように、格付けが高い債券は、株価と逆に値動きする傾向があります。残存年数が長いほど、株価下落時に、債券価格の上昇でリカバリーしやすくなります。
格付けが低い債券で、残存年数が長いのは、不況でより激しく暴落する可能性があるということ。リスクの取りすぎには注意しましょう。
デュレーションのより詳しい解説は、デュレーションの詳細記事をチェックしてみてください。残存期間の違いが、値動きにどれほど反映されるのか解説しています。
株式と組み合わせたポートフォリオのリスク・リターンも検証しています。
米国総合債券「AGG」「BND」
まずは、債券ETFで最もメジャーな「AGG」と「BND」です。米国の投資適格債券(BBB以上)に丸っと投資できるETFです。
「これで損するなら、どう足掻いても損したんじゃないかな?」と思える、信頼できる銘柄。「迷ったらこれ」という感じです。
運用会社 | ブラックロック | バンガード |
商品名 | iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF | バンガード 米国トータル債券市場ETF |
ティッカー | AGG | BND |
ベンチマーク | ブルームバーグ・バークレイズ米国総合 インデックス | ブルームバーグ・バークレイズ米国総合浮動調整インデックス |
投資対象 | 米国の投資適格債券 | 米国の投資適格債券 |
配当利回り | 1.8〜3%程度 | 1.8〜3%程度 |
格付け | 主にAAA(最低でBBB) | 主にAAA(最低でBBB) |
平均残存年数 | 8.28年 | 8.6年 |
デュレーション | 6.55年 | 6.8年 |
経費率 | 0.04% | 0.035% |
分配月 | 毎月 | 毎月 |
純資産総額 | 約890億ドル | 約320億ドル |
設定日 | 2003/9/22 | 2007/04/03 |
*AGG参考サイト:ブラックロックHP
*BND参考サイト:バンガードHP
どちらも米国のあらゆる投資適格債券に投資しているので、国債も社債も入ってきます。国債とMBS(住宅ローン証券)で約半数を占めているので、かなり信用の高い債券が中心。
どちらも大体10,000くらいの銘柄に投資できるので、かなり分散が効いた商品と言えるでしょう。
中身に少し差異はありますが、ほとんど同じ商品と思って差し支えありません。どちらを選んでもOKですが、強いていうなら経費率の低い「BND」でしょうか。
両ETFの詳細は、「AGG」と「BND」の比較記事で解説しています。
米国債
米国の国債に投資できるETFを紹介します。米国がデフォルトする可能性は基本的に0なので、格付けは最高クラスでみんな同じ。
それぞれで違うのは残存期間のみとなっています。
超長期国債「TLT」
「TLT」は米国債の中でも特に長い、残存期間20年超を対象にしたETFです。
残存期間が長いほど利回りは上がるので、米国債の中では高めの利回りとなっています。ただし格付けが高いので、社債や新興国債に比べれば、利回りは見劣りします。
運用会社 | ブラックロック |
商品名 | iシェアーズ 米国国債 20年超 ETF |
ティッカー | TLT |
ベンチマーク | IDC US Treasury 20+ Year Index (4PM) |
投資対象 | 残存期間20年超の米国債 |
配当利回り | 1.4〜3%程度 |
格付け | AAA |
平均残存年数 | 26.04年 |
デュレーション | 18.89年 |
経費率 | 0.15% |
分配月 | 毎月 |
純資産総額 | 約170億ドル |
設定日 | 2002/7/22 |
*参考サイト:ブラックロックHP
「TLT」の特徴は、冒頭で紹介したデュレーションが非常に長いこと。そのため安全な債券の割には大きく値動きします。債券なのにキャピタルゲインまで狙えてしまう銘柄です。
不況時には株式とは逆に、大きく値上がりする傾向があるので、資産防衛機能が非常に高いのも特徴。逆言えば、好況期には値下がりしやすいのですが、ここも捉え方次第です。
株式と組み合わせることで、好況期は株式が資産を伸ばし、不況時は「TLT」が資産を支えるという、うまい具合に噛み合ったポートフォリオを作れるでしょう。
リスク・リターンのバランスは、次に紹介する「IEF」「SHY」より優れています。個人投資家が米国債に投資するなら、「TLT」は最右翼になるでしょう。
詳しくは、「TLT」の解説記事をチェックしてみてください。「IEF」「SHY」と比較して、期間の長さがどう影響するかもわかりやすく解説しています。
中長期国債「IEF」
「IEF」は、残存期間7〜10年の米国債に投資するETFです。
10年国債が「長期国債」と呼ばれているので、「IEF」がカバーしているのは中長期国債といったところでしょうか。
運用会社 | ブラックロック |
商品名 | iシェアーズ 米国国債 7-10年 ETF |
ティッカー | IEF |
ベンチマーク | IDC US Treasury 7-10 Year Index (4PM) |
投資対象 | 残存期間7年超10年以下の米国債 |
配当利回り | 0.8〜2%程度 |
格付け | AAA |
平均残存年数 | 8.46年 |
デュレーション | 7.90年 |
経費率 | 0.15% |
分配月 | 毎月 |
純資産総額 | 約145億ドル |
設定日 | 2002/7/22 |
*参考サイト:ブラックロックHP
「TLT」より残存期間が短いので、利回りはよく少なくなり、値動きはより小さくなります。個人が投資するには、かなり堅めのETFかなと思います。
短期国債「SHY」
「SHY」は、残存期間1〜3年の米国債に投資するETFです。
運用会社 | ブラックロック |
商品名 | iシェアーズ 米国国債 1-3年 ETF |
ティッカー | SHY |
ベンチマーク | IDC US Treasury 1-3 Year Index (4PM) |
投資対象 | 残存期間7年超10年以下の米国債 |
配当利回り | 4.15% |
格付け | AAA |
平均残存年数 | 1.97年 |
デュレーション | 1.94年 |
経費率 | 0.3〜1%程度 |
分配月 | 毎月 |
純資産総額 | 約190億ドル |
設定日 | 2002/7/22 |
*参考サイト:ブラックロックHP
残存期間が「TLT」「IEF」よりもグッと短くなっています。そのため利回りは低く、値動きはほっとんど水平。現金よりはマシと考えて、ひく〜い利回りを取りにいく感じです。
おそらく一般の個人投資家ではなく、かなり大きな金額を動かしている人が、現金を持つ代わり買うような存在なのかなと。
一応、純資産総額が大きいのと、「TLT」「IEF」「SHY」3兄弟の末っ子みたいな存在なので紹介しましたが、個人投資家は手を出す必要ないと思います。
物価連動国債(TIPS)「TIP」「VTIP」
物価連動国債は、英語で”Treasury Inflation-Protected Securities”と書きます。略して「TIPS」と呼ばれています。
債券は利子と元本の金額が決まっているので、インフレで貨幣の価値が下がると、実質リターンが下がってしまいます。これをインフレリスクと呼びます。
TIPSは、インフレに応じて利子と元本の金額が上がるので、インフレリスクを負いません。その代わりデフレ時は利子と元本の金額が下がってしまいます。
物価変動のリスクを負わない分だけ、通常の米国債よりさらに安定志向の資産と言えるでしょう。
運用会社 | ブラックロック | バンガード |
商品名 | iシェアーズ 米国物価連動国債 ETF | バンガード・米国短期インフレ連動債ETF |
ティッカー | TIP | VTIP |
ベンチマーク | ブルームバーグ 米国TIPS インデックス(シリーズL) | バークレイズ米国TIPS(0-5年)インデックス(シリーズL) |
投資対象 | 米国のインフレ連動国債 | 0〜5年の米国のインフレ連動国債 |
配当利回り | 物価により変動する | 物価により変動する |
格付け | AAA | AAA |
平均残存年数 | 8.11年 | 2.8年 |
デュレーション | 7.66年 | 2.8年 |
経費率 | 0.19% | 0.05% |
分配月 | 毎月 | 毎月 |
純資産総額 | 約330億ドル | 約530億ドル |
設定日 | 2003/12/4 | 2012/10/12 |
*TIP参考サイト:ブラックロックHP
*VTIP参考サイト:バンガードHP
TIPSの代表的なETFは、「TIP」と「VTIP」です。
どちらもかなり純資産総額が大きく、債券ETFの中でもかなり上位に位置しています。個人投資家というよりも、インフレヘッジのために機関投資家が買っているのかなと思います。
同じインフレヘッジなら「コモディティ」でも良いわけですが、コモディティのボラティリティを許容できない人が買うイメージです。資産を増やすことより、減らさないことを重視している人なんかですね。
両者は似たようなETFではありますが、残存期間は全然違います。「VTIP」の方が残存期間が短いので、よりローリスク・ローリターンになっています。
詳しくは、「TIP」と「VTIP」の比較記事をチェックしてみてください。物価連動国債(TIPS)の特徴も詳しく解説しています。
MBS(モーゲージ証券)「MBB」「VMBS」
モーゲージ(mortgage)とは、「住宅ローン」という意味の英単語。
MBSは、”Mortgage Backed Securities”の略で、住宅ローンの元本や利子の返済資金が裏付けになっている証券のことです。日本語では「モーゲージ証券」とも呼ばれます。
特徴は、MBSの利子や元本の支払いを、米国の政府関連機関が保証しているところ。デフォルトリスクがない米国政府がバックについているので、事実上国債と同じような存在です。
なんとなく小難しく聞こえるかもしれませんが、債券市場では大きなポーションを占めるメジャーなジャンルとなっています。
運用会社 | ブラックロック | バンガード |
商品名 | iシェアーズ 米国 MBS ETF | バンガード・米国モーゲージ担保証券ETF |
ティッカー | MBB | VMBS |
ベンチマーク | ブルームバーグ・バークレイズ米国MBSインデックス | ブルームバーグ・バークレイズ米国MBS浮動調整インデックス |
投資対象 | 米国政府機関が発行もしくは保証するモーゲージ証券 | 米国政府機関が発行もしくは保証するモーゲージ証券 |
格付け | AAA | AAA |
平均残存年数 | 4.99年 | 4.8年 |
デュレーション | 4.42年 | 4.5年 |
配当利回り | 1.5〜3%程度 | 1.5〜3%程度 |
経費率 | 0.06% | 0.05% |
分配月 | 毎月 | 毎月 |
純資産総額 | 約250億ドル | 約165億ドル |
設定日 | 2007/3/13 | 2009/11/19 |
*MBB参考サイト:ブラックロックHP
*VMBS参考サイト:バンガードHP
MBSのETFは、概ね米国債ETFと同じような性質を持ちます。
値動きの仕方は、短期米国債の「SHY」よりもちょっとボラティリティがあるくらいなので、値動きはかな〜り小さめ。
しかしながら、短期米国債よりも利回りが高くなっています。普通に考えると短期米国債を買うくらいなら、MBSを買った方が良いでしょう。
「社債ほどリスクを取りくないけど、現金じゃ1円も儲からない!」という人には魅力的です。大きな資産を持っていて、もう守りに入った人が取る選択肢になろうかと思います。
詳細は、「MBB」と「VMBS」の比較記事をチェックしてみてください。MBSとは何ぞやについてもさらに突っ込んで解説しています。
投資適格社債
主に米国企業の社債に投資できるETFを紹介します。
ここでは、格付けがBBB以上の投資適格社債を対象とします。国債に比べると格付けが下がるので、より高い利回りが期待できます。
投資適格社債「LQD」
「LQD」は、投資適格と評価された「BBB」の社債を中心に投資するETF。社債ジャンルのETFでは、トップクラスに高い純資産総額を誇る大人気銘柄となっています。
運用会社 | ブラックロック |
商品名 | iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETF |
ティッカー | LQD |
ベンチマーク | Markit iBoxx米ドル建てリキッド 投資適格指数 |
投資対象 | 米ドル建ての投資適格社債 |
配当利回り | 2.4〜4%程度 |
格付け | BBB、次いでAが中心 |
平均残存年数 | 13.78年 |
デュレーション | 9.69年 |
経費率 | 0.14% |
分配月 | 毎月 |
純資産総額 | 約430億ドル |
設定日 | 2002/7/22 |
*参考サイト:ブラックロックHP
「LQD」は、BBB格が約半数で、ついでA格が大きい割合を占めています。約2,500銘柄が組み入れられているので、分散性も優れています。
投資適格ではありつつも、高すぎない格付けになっていますね。そのため米国債よりも高い利回りが期待できます。
残存期間が10年長と長めなので、値動きはボチボチあります。暴落相場では株式と同じように値下がりする傾向がありますが、株式と比べればはるかに早く回復しています。
わずかな間の資産価格下落が気にならないのであれば、「LQD」はリスクとリターンのバランスに優れた債券ETFと言えるでしょう。
詳細は、「LQD」の解説記事をチェックしてみてください。
中期社債「IGIB」「VCIT」
「IGIB」「VCIT」は、残存期間5〜10年の米国社債に投資するETFです。残存期間をコントロールしたいときは、こちらを使用すると良いでしょう。
運用会社 | ブラックロック | バンガード |
商品名 | iシェアーズ 米ドル建て社債 5-10年 ETF | バンガード 米国短期社債ETF |
ティッカー | IGIB | VCIT |
ベンチマーク | ICE BofA 5-10 Year US Corporate Index | BloomBarc US 5-10 Year Corp Index |
投資対象 | 残存期間5年以上10年未満の米ドル建て投資適格社債 | 残存期間5年以上10年未満の米ドル建て投資適格社債 |
配当利回り | 2.4〜3.8%程度 | 2.4〜4%程度 |
格付け | BBB、次いでAが中心 | BBB、次いでAが中心 |
平均残存年数 | 7.46年 | 7.4年 |
デュレーション | 6.52年 | 6.5年 |
経費率 | 0.06% | 0.05% |
分配月 | 毎月 | 毎月 |
純資産総額 | 約120億ドル | 約490億ドル |
設定日 | 2007/1/5 | 2009/11/19 |
*IGIB参考サイト:ブラックロックHP
*VCIT参考サイト:バンガードHP
格付けは、BBB格が約半数で、ついでA格が大きい割合を占めています。組み入れ銘柄数は2,000〜2,600程度です。
残存期間が「LQD」よりも短くなっているので、値動きはいくらか緩やかになります。分配金の利回りは、「LQD」とあまり差がありません。
「LQD」よりもさらに値動きを安定させたい場合は、こちらを選ぶと良いでしょう。
短期社債「IGSB」「VCSH」
「IGSB」「VCSH」は、残存期間1〜5年の米国社債に投資するETFです。さらに残存期間を短くしたい場合は、こちらになります。
運用会社 | ブラックロック | バンガード |
商品名 | iシェアーズ 米ドル建て社債 1-5年 ETF | バンガード 米国短期社債ETF |
ティッカー | IGSB | VCSH |
ベンチマーク | ICE BofA 1-5 Year US Corporate Index | BloomBarc US 1-5 Yr Corporate Index |
投資対象 | 残存期間1年以上5年未満の米ドル建て投資適格社債 | 残存期間1年以上5年未満の米ドル建て投資適格社債 |
配当利回り | 1〜3%程度 | 1.5〜3%程度 |
格付け | BBB、Aが中心 | BBB、Aが中心 |
平均残存年数 | 3.02年 | 3.0年 |
デュレーション | 2.79年 | 2.8年 |
経費率 | 0.06% | 0.05% |
分配月 | 毎月 | 毎月 |
純資産総額 | 約250億ドル | 約490億ドル |
設定日 | 2007/1/5 | 2009/11/19 |
*IGSB参考サイト:ブラックロックHP
*VCSH参考サイト:バンガードHP
格付けは、BBB格とA格でほぼ全てです。組み入れ銘柄数は2,300〜3,000程度。
残存期間が中期社債ETFよりもさらに短くなっているので、値動きは少なく、分配金も少なめです。個人で投資するには、堅めの投資先になるかなと思います。
ハイイールド社債「HYG」「JNK」
ハイイールド債は、「ジャンク債」とも呼ばれます。格付けがBB以下で、債券投資にしてはリスクが高いと判断される銘柄です。その代わり高い利回りが期待できます。
中身は比較的デフォルトリスクの高い銘柄で構成されていますが、ETFで分散されているので、大損するような投資先ではありません。
ただし株式市場の暴落時は、株価と同じように大きく値下がります。加えて投資適格債券と比べると、価格の回復もずいぶん遅いので、相応のリスクがある投資先になります。
運用会社 | ブラックロック | ステートストリート |
商品名 | iシェアーズ iBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF | SPDR ブルームバーグ・バークレイズ・ハイ・イールド債券ETF |
ティッカー | HYG | JNK |
ベンチマーク | Markit iBoxx米ドル建てリキッド ハイイールド指数 | Bloomberg Barclays High Yield Very Liquid Index |
投資対象 | 配当利回りが高い先進国の米ドル建て社債 | 配当利回りが高い米ドル建て社債 |
格付け | BB、Bが中心 | BB、Bが中心 |
平均残存年数 | 3.96年 | 6.23年 |
デュレーション | 3.78年 | 3.60年 |
配当利回り | 4.5〜6%程度 | 5〜7%程度 |
経費率 | 0.48% | 0.4% |
分配月 | 毎月 | 毎月 |
純資産総額 | 約200億ドル | 約95億ドル |
設定日 | 2007/4/4 | 2007/11/28 |
*HYG参考サイト:ブラックロックHP
*JNK参考サイト:ステートストリートHP
ほぼ全ての構成銘柄が、BB以下のジャンク債となっています。大半はBBとBで、ジャンク債の中では比較的マシ(デフォルトリスクはあるが、そこまで高くない)な部類。
これまで出てきた債券ジャンルに比べると、ややマニアックなせいか、経費率は高めになっています。利回りが高いので、十分カバーできるレベルではありますが。
ただしどうせ株式と一緒に値下がりするなら、もっとリターンの高い株式でよくない?と思う節もあります。ジャンク債も債券なので、株式のような値上がりも期待できませんし。
現金配当が欲しくて投資をする人で、かつ暴落前に売り抜けられる人なら、アリな選択肢だと思います。投資適格債券とは全くの別物と考えましょう。
ジャンク債ETFの詳細記事はこちらです。
新興国債券「EMB」「VWOB」
新興国債券ETFの中身は、主に新興国の国債となっています。一応国債なので一定の信用はあるのですが、ギリシャやアルゼンチンのように、国家でもデフォルトのリスクはあります。
新興国の国債は、先進国の国債とは全く別物。どちらかというと社債やジャンク債に近い感覚で投資することになります。
運用会社 | ブラックロック | バンガード |
商品名 | iシェアーズ J.P.モルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券 ETF | バンガード・米ドル建て新興国政府債券ETF |
ティッカー | EMB | VWOB |
ベンチマーク | J.P. モルガン・エマージング・マーケッツ・ボンド・インデックス・グローバル・コア・インデックス | バークレイズ米ドル建て新興市場政府債RIC基準インデックス |
投資対象 | 新興国の米ドル建て債券 | 新興国の米ドル建て債券 |
格付け | AA〜Bと幅広い | AA〜Bと幅広い |
平均残存年数 | 13.55年 | 13.6年 |
デュレーション | 8.52年 | 8.5年 |
配当利回り | 4〜5%程度 | 4〜5%程度 |
経費率 | 0.39% | 0.25% |
分配月 | 毎月 | 毎月 |
純資産総額 | 約200億ドル | 約33億ドル |
設定日 | 2007/12/17 | 2013/5/31 |
*EMB参考サイト:ブラックロックHP
*VWOB参考サイト:バンガードHP
新興国債券ETFは、格付けにフォーカスした銘柄選びになっていないので、いろんな格付けがごちゃ混ぜで入っています。大体、投資適格6:ジャンク4くらいの割合になっています。
こちらも現金が欲しい人向けの投資になると思います。個人的にはジャンク債の「HYG」よりも暴落時のボラティリティが低いので、こちらの方が使いやすいです。
新興国債券ETFの詳細記事はこちらです。
まとめ
今回は、メジャーどころの米国債券ETFを紹介しました。
一口に債券といっても、格付けや残存期間によって、全く性質が異なります。ETFに関して言えば、株式よりも選ぶのが難しいかもしれませんね。
次のような目安で選ぶのが良いかなと思います。
①株価暴落時に資産を守りたい人
- 格付け目安:A〜AAAの高格付け債券
- 対象債券:米国債など
- 該当するETF:AGG、BND、TLT
②資産価格は下げたくないけど、一時の下落は許容できる人
- 格付け目安:BBB〜Aの投資適格債券
- 対象債券:比較的財務が健全な社債など
- 該当するETF:LQD
③とにかく高い利回りが欲しい人。暴落前に売り抜けられる人
- 格付け目安:BB以下のジャンク債
- 対象債券:財務に懸念がある社債、新興国債など
- 該当するETF:HYG、JNK、EMB
米国ETFは、債券以外にも魅力的な商品がたくさんあります。定番の米国ETFの紹介記事もチェックしてみてください。これから米国株投資をする人は、知っておきたい銘柄ばかりです。