高配当株は、さながら「毎朝金の卵を産んでくれる黄金のニワトリ」といったところでしょうか?現金でもらえる配当金は、株価の値上がりの含み益とは違った魅力がありますね。
個別株だと業績によって、配当金が急に減ったり無くなったりする恐れがあります。安定して高配当を得ようと思ったら、ある程度手間をかけてケアする必要があるでしょう。
一方で高配当ETFであれば、数十〜数百の高配当銘柄に一挙に投資できます。全般的に大した手間はかからずに、物によってはほぼほったらかしで良いでしょう。
日本にはあまり魅力的な高配当ETFがないため、もっぱら人気があるのは「米国高配当ETF」。高配当ETFの配当利回りは、税引き前で3〜5%程度が普通ですが、中には10%超も。
この記事では、定番からマニアックなものまで、米国高配当ETFを紹介していきます。もちろん高い配当にはそれなりの理由がありますが、選択肢としては知っておいても良いのでは?
配当金狙いで投資を考えている人は、ぜひ最後までチェックしてみてください!
高配当ETFの3つの魅力
まずはカンタンに高配当ETFがどんな点で優れているかを、ざっとおさらいしておきましょう。
高配当ETFの3つの魅力
- 現金が手元に入りモチベーションアップに
- 市場の動向をあまり意識しなくて済む
- FIRE(リタイア)後の暴落の保険になる
配当は現金が手に入るので、生活にリアルな変化があります。家計が楽になったり、お小遣いが増えたり、投資の良さを実感しやすいと思います。
加えて、配当は株価の値動きほど激しく上下しないので、日頃の株価の推移にそこまで気にする必要はなくなります。加えてETFであれば、配当が望めなくなった銘柄は、勝手に高配当銘柄に切り替えてくれます。
FIRE直後に株の暴落があると、FIRE後に資金が尽きる可能性が出てきます。暴落時は資産を取り崩さずに、現金でやり過ごすのがセオリー。取り崩さなくても現金が手に入る高配当ETFは、保険として機能します。
また本記事の最後には、高配当ETFに投資する上での戒めというか、注意点も解説しているので、併せてチェックしてくださいね。
米国株式の高配当ETF【VYM・HDV・SPYD】
高配当ETFと聞いてまず思い浮かべるのは【VYM・HDV・SPYD】の3つです。
- VYM → バンガード
- SPYD → ステートストリート
- HDV → ブラックロック
と、米国の三大超大手が提供しています。いずれも米国株式から高配当銘柄を選りすぐったETFで、王道中の王道と言えるでしょう。
おそらく高配当ETFに投資している人のほとんどは、この3つのうちのどれか、またはこの3つの組み合わせで投資しているかなと思います。
運用会社 | バンガード | ブラックロック | ステートストリート |
商品名 | バンガード・米国高配当株式ETF | iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF | SPDR ポートフォリオS&P500 高配当株式ETF |
ティッカー | VYM | HDV | SPYD |
ベンチマーク | FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス | モーニングスター配当フォーカス指数 | S&P 500 High Dividend Index |
投資対象 | 米国で配当利回りが高い約400銘柄 | 米国で配当利回りが高い約75銘柄 | S&P500に含まれる企業で配当利回りが高い約80銘柄 |
配当利回り | 3%前後 | 3〜4%程度 | 4〜5%程度 |
経費率 | 0.06% | 0.08% | 0.07% |
分配月 | 3月・6月・9月・12月 | 3月・6月・9月・12月 | 3月・6月・9月・12月 |
純資産総額 | 約490億ドル | 約75億ドル | 約50億ドル |
設定日 | 2006/11/16 | 2011/3/29 | 2015/10/21 |
*VYM参考サイト:バンガードHP
*HDV参考サイト:ブラックロックHP
*SPYD参考サイト:ステートストリートHP
各々の配当利回りは、
- VYM:3%前後
- HDV:3〜4%
- SPYD:4〜5%
が目安となっています。
単純に配当を狙うならSPYDですが、株価の値上がりまで考慮したトータルリターンはVYMに軍配が上がります。リスクを抑えつつ、配当もそこそこ欲しければHDVが良いかと。
この3つが特に人気がある理由は、配当を得つつ、株価の値上がりまで期待できるところ。他の高配当銘柄は、株価の値上がりまでは期待できません。
横並びで語られることが多いのですが、その中身は結構違っています。もっと詳しい内容は「【大解剖】高配当ETF「VYM・HDV・SPYD」を徹底比較!」へどうぞ。
(おまけ)米国増配株ETF【VIG】
こちらは高配当ETFではないのですが、配当をテーマにしたETFなので、一応紹介しておこうと思います。
運用会社 | バンガード |
商品名 | バンガード・米国増配株式ETF |
ティッカー | VIG |
ベンチマーク | NASDAQ US Dividend Achievers Select Index |
投資対象 | 最低10年間の連続増配実績がある約247銘柄 |
配当利回り | 1.5〜2.5%程度 |
経費率 | 0.06% |
分配月 | 3月・6月・9月・12月 |
純資産総額 | 約750億ドル |
設定日 | 2006/4/21 |
*参考サイト:バンガードHP
VIGは10年以上増配し続けている企業で構成されたETF。増配とは、配当金を増やすということです。
本来の株式は、企業が儲けたお金を配当として株主に配るための仕組みです。そういう意味では、「健全な企業=増配し続けている企業」と言えるかもしれません。
現時点では配当が多いとはお世辞にも言えませんが、将来は高配当株になっている可能性が高そうです。値上がりも益も期待できるため、長期積み立てにも適した商品と言えるでしょう。
「VYM・HDV・SPYD」にしても、「VIG」にしても、この手のETFは、インデックスのように株価指数をそのまま使うのではなく、配当という色眼鏡で調整した、特殊な指数に連動するように設計されています。
この手の独自の指数に連動させる銘柄全般を「スマートベータ」と呼びます。配当系のスマートベータは人気があるジャンルです。
激しく蛇足になるので、「スマートベータ」自体の説明は割愛しますが、詳しく知りたい人は、別途スマートベータの解説記事へどうぞ。
ハイイールド債券ETF【JNK・HYG】
株式よりローリスク・ローリターンなイメージの債券にも、高配当銘柄はあります。そのような債券は「ハイイールド債」と呼ばれています。(「ハイ=高」+「イールド=利回り」という意味)
債券の世界では、「BBB」以上の格付けが投資適格とされていますが、ハイイールド債は、「BB」以下の投資不適格な債券です。
中身はリスクが高めの社債で、株式のように値動きが激しく、元本割れのリスクもあります。
運用会社 | ブラックロック | ステートストリート |
商品名 | iシェアーズ iBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF | SPDR ブルームバーグ・バークレイズ・ハイ・イールド債券ETF |
ティッカー | HYG | JNK |
ベンチマーク | Markit iBoxx米ドル建てリキッド ハイイールド指数 | Bloomberg Barclays High Yield Very Liquid Index |
投資対象 | 配当利回りが高い先進国の米ドル建て社債 | 配当利回りが高い米ドル建て社債 |
格付け | BB、Bが中心 | BB、Bが中心 |
平均残存年数 | 3.96年 | 6.23年 |
デュレーション | 3.78年 | 3.60年 |
配当利回り | 4.5〜6%程度 | 5〜7%程度 |
経費率 | 0.48% | 0.4% |
分配月 | 毎月 | 毎月 |
純資産総額 | 約200億ドル | 約95億ドル |
設定日 | 2007/4/4 | 2007/11/28 |
*HYG参考サイト:ブラックロックHP
*JNK参考サイト:ステートストリートHP
「ジャンク」なんて言われると、買う気が失せてしまうかもしれませんね。個別銘柄でジャンク債を買うのはちょっと怖いです。
ですがこれらのETFなら、数百〜千以上の銘柄に分散投資されているので、リスクは緩和されています。「ジャンク」という言葉に過度に敏感になる必要はないでしょう。
ただ配当は高いのですが、資産価格の上昇は見込めません。かといって、株式が暴落すると一緒に値下がりする傾向があるので、クッションの機能もあまり期待できません。
それならトータルリターンで考えて、【SPYD・HDV・VYM】のが良くない?と考える人が多い気がします。経費率もあっちの方が低いですからね。
ハイイールド債ETFの詳細は、「【ジャンク債は怖い?】ハイイールド債ETF「HYG」「JNK」を解説【高配当狙えます!】」で解説しています。
新興国債券ETF【EMB・VWOB】
主に新興国の国債に投資するETFです。国債なので一定の信用はありますが、新興国の場合は、国家でもデフォルトリスクが出てきます。
そんなわけで新興国の国債は、先進国の国債とは違い、どちらかというとジャンク債に近い性質を持っています。
運用会社 | ブラックロック | バンガード |
商品名 | iシェアーズ J.P.モルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券 ETF | バンガード・米ドル建て新興国政府債券ETF |
ティッカー | EMB | VWOB |
ベンチマーク | J.P. モルガン・エマージング・マーケッツ・ボンド・インデックス・グローバル・コア・インデックス | バークレイズ米ドル建て新興市場政府債RIC基準インデックス |
投資対象 | 新興国の米ドル建て債券 | 新興国の米ドル建て債券 |
格付け | AA〜Bと幅広い | AA〜Bと幅広い |
平均残存年数 | 13.55年 | 13.6年 |
デュレーション | 8.52年 | 8.5年 |
配当利回り | 4〜5%程度 | 4〜5%程度 |
経費率 | 0.39% | 0.25% |
分配月 | 毎月 | 毎月 |
純資産総額 | 約200億ドル | 約33億ドル |
設定日 | 2007/12/17 | 2013/5/31 |
*EMB参考サイト:ブラックロックHP
*VWOB参考サイト:バンガードHP
新興国債券ETFは、格付けにフォーカスした銘柄選びになっていないので、いろんな格付けがごちゃ混ぜで入っています。大体、投資適格6:ジャンク4くらいの割合になっています。
性質は概ねジャンク債の「HYG」と同じような感じですが、こちらの方が株式市場が暴落するときのボラティリティが低いので、個人的には幾分使いやすいかなと思います。
新興国債券ETFの詳細は、「5%の高配当が狙える新興国債券ETF「EMB」「VWOB」をチェック!【新興国ゆえのリスクとは?】」で解説しています。
優先株ETF【PFF・PFFD】
「優先株」とは、議決権を持たない代わりに、優先的に配当を得られる特殊な株式のこと。
普通の株よりも優先的に配当をもらえるから「優先株」です。企業が利益を出したら、まず借金の利息を払い、次に優先株の配当を払い、最後に普通株の配当を払う順番。
日本ではあまり聞きませんが、米国では経営権を渡さない資金調達手段として、普通にあります。個人投資家は議決権を欲しいわけではないので、デメリットにはなりません。
運用会社 | ブラックロック | グローバルX |
商品名 | iシェアーズ 優先株式 & インカム証券 ETF | グローバルX 米国優先証券 ETF |
ティッカー | PFF | PFFD |
ベンチマーク | ICE 上場優先株式 & ハイブリッド証券 インデックス | ICE BofAML・ダイバーシファイド・コア・米国優先証券・インデックス |
投資対象 | 米ドル建ての優先株及びハイブリッド証券約500銘柄 | 米国の優先株約290銘柄 |
配当利回り | 5%前後 | 5%前後 |
経費率 | 0.46% | 0.23% |
分配月 | 毎月 | 毎月 |
純資産総額 | 約200億ドル | 約20億ドル |
設定日 | 2007/3/26 | 2017/9/17 |
*PFF参考サイト:ブラックロックHP
*PFFD参考サイト:グローバルXHP
性質としては「ハイイールド債」と似ています。配当が高くて、値動きはあまりなく、株式の暴落時は一緒に値下がりする傾向があります。
優先株といえば「PFF」が代表選手ですが、リターンや経費率の面では「PFFD」の方が優れています。ただし、純資産総額には開きがあり「PFFD」は、流動性の観点では劣ります。
流動性とは現金化のしやすさのこと。純資産総額が高い「PFF」の方が、たくさんの投資家が売買に参加するので、売りたいときに売りやすくなります。
PFFや優先株の詳細は、「【手堅く高配当】米国優先株ETF「PFF」「PFFD」で5%利回りをゲットしよう!」で解説しています。
米国エネルギーセクターETF【XLE・VDE】
セクターとは、大まかな業種の括りのこと。ハイテク企業が多いセクターは配当が少なかったり、逆に歴史の長い企業が多いセクターは配当が高かったりと、バラツキがあります。
米国株には全部で11のセクターがあり、その中でも「エネルギーセクター」は配当が高いセクターとなっています。
運用会社 | ステートストリート | バンガード |
商品名 | エネルギー・セレクト・セクター SPDR ファンド | バンガード・米国エネルギー・セクターETF |
ティッカー | XLE | VDE |
ベンチマーク | Energy Select Sector Index | MSCI US IMI Energy 25/50 |
投資対象 | S&P500銘柄のうちエネルギーセクターに属する銘柄 | 米国のエネルギセクターに属する大型・中型・小型銘柄 |
配当利回り | 3〜4.5%程度 | 2〜3.5%程度 |
経費率 | 0.12% | 0.1% |
分配月 | 3月・6月・9月・12月 | 3月・6月・9月・12月 |
純資産総額 | 約220億ドル | 約60億ドル |
設定日 | 1998/12/22 | 2004/9/29 |
*XLE参考サイト:ステートストリートHP
*VDE参考サイト:バンガードHP
ただし、この手のセクターETFを選ぶと、ポートフォリオ全体のセクターが偏りがち。セクターを意識した投資する人以外は、手を出す必要はないでしょう
セクター投資の考え方と、各セクターの詳細は、「米国株の全11セクターとは?セクターローテーションを意識したポートフォリオを持とう!」で解説しています。
REIT(リート)ETF【RWR・XLRE・SRET】
「REIT(リート)」は、”Real Estate Investment Trust”の略で、不動産版の投資信託みたいなものです。REITを通して、間接的に複数の不動産のオーナーになり、家賃収入を得るイメージです。
ETFになると、複数のREITに分散投資し、それぞれのREITが複数の物件を持っているので、かなりの物件に分散投資することになります。
運用会社 | ステートストリート | ステートストリート | グローバルX |
商品名 | SPDR ダウ・ジョーンズ REIT ETF | 不動産セレクト・セクター SPDR® ファンド | グローバルX スーパーディビィデンド-世界リート ETF |
ティッカー | RWR | XLRE | SRET |
ベンチマーク | Dow Jones U.S. Select REIT Index | Real Estate Select Sector Index | ソラクティブ・グローバル・スーパーディビィデンド・REIT・インデックス |
投資対象 | 米国内のREIT | S&P500銘柄のうち不動産セクターに属する銘柄 | 世界で配当利回りの高いREIT30銘柄(モーゲージREIT含む) |
配当利回り | 3〜4%程度 | 3〜4%程度 | 6〜7%程度 |
経費率 | 0.25% | 0.12% | 0.58% |
分配月 | 3月・6月・9月・12月 | 3月・6月・9月・12月 | 毎月 |
純資産総額 | 約20億ドル | 約40億ドル | 約5億ドル |
設定日 | 2001/4/23 | 2015/10/8 | 2015/3/16 |
*RWR参考サイト:ステートストリートHP
*XLRE参考サイト:ステートストリートHP
*SRET参考サイト:グローバルXHP
REITが高配当になりやすいのは、利益の90%以上に投資家に還元する仕組みになっているからです。その代わりに免税を受けられる仕組みになっています。
「SRET」の配当が高くなっているのは、モーゲージREITの割合が大きいためです。詳しい説明は割愛しますが、通常のREITよりもリスクが高い商品と思っていただければと。
世界高配当ETF【SDIV】
「全世界株式インデックス」は大人気なので知っている人も多いですが、こちらはそれとは一線を画す商品です。世界中の高配当銘柄に分散投資できる代物となっています。
運用会社 | グローバルX |
商品名 | グローバルX スーパーディビィデンド-世界株式 ETF |
ティッカー | SDIV |
ベンチマーク | ソラクティブ・グローバル・スーパーディビィデンド・インデックス |
投資対象 | 世界の配当利回り上位100銘柄 |
配当利回り | 7〜10%程度 |
経費率 | 0.59% |
分配月 | 毎月 |
純資産総額 | 約10億ドル |
設定日 | 2011/6/8 |
*参考サイト:グローバルXHP
配当はかなり高めの7%。10%くらいのときもありました。
やっていることは、米国S&P500の上位80社に均等投資する「SPYD」に似ています。それの全世界版と考えればわかりやすいでしょう。
「SPYD」の場合は、S&P500という米国のトップ企業から銘柄を選んでいますが、こちらの「SDIV」は世界の有象無象の中から選ばれた高配当銘柄となっています。
新興国からもガンガン銘柄が入っており、結構リスクが高めの商品と思われます。不動産の割合がかなり多く、セクター比率も歪です。
いろいろ混ざった高配当ETF【YYY】
「高配当になものをいろいろ集めて詰め合わせてみたよ!」という感じのETFが「YYY」です。
運用会社 | アンプリファイ |
商品名 | アンプリファイ・ハイ・インカムETF |
ティッカー | YYY |
ベンチマーク | ISE High Income Index |
投資対象 | ハイイールド債などを扱うファンド30〜45銘柄 |
配当利回り | 8〜10% |
経費率 | 2.45%(うち0.5%がYYYの正味経費率) |
分配月 | 毎月 |
純資産総額 | 約5億ドル |
設定日 | 2013/6/21 |
*参考サイト:アンプリファイHP
10%ほどにもなるかなりの高配当銘柄で、初見では胡散臭さすら感じます。
YYYは個別銘柄の寄せ集めではなく、ファンドを寄せ集めたETFです。しかも高配当ファンドの寄せ集めなので、どことなく「闇鍋感」があります。
各投資先ファンドの中身はハイイールド債(ジャンク債)が中心で、かなり格付けが低い高リスク債券と思われます。ただ投資対象は個別銘柄ではなくファンドなので、分散は効いています。
株価の推移が芳しくないので、ちょっと購入には躊躇する銘柄となっています。
YYYの詳細分析は「【闇鍋!?】高配当ETF「YYY」ってどんなETF?中身とパフォーマンスを覗いてみよう」へどうぞ。
カバードコールETF【QYLD】
「カバードコール」は、聞き慣れない用語だと思います。
カバードコールとは、ある資産を持っている人が、「予め定めた価格でその資産を買う権利(コールオプション)」を、売却する投資手法です。
コールオプションで売却した資産が、予め決めた価格以上に値上がりした場合は、超えた分の利益は放棄しなければなりません。その代わりに、対価としてプレミアム(手数料みたいなもの)をもらえます。
運用会社 | グローバルX |
商品名 | グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF |
ティッカー | QYLD |
ベンチマーク | CBOE NASDAQ-100・バイライト・V2・インデックス |
投資対象 | NASDAQの上位100銘柄 |
配当利回り | 8〜12%程度 |
経費率 | 0.6% |
分配月 | 毎月 |
純資産総額 | 約40億ドル |
設定日 | 2013/12/11 |
*参考サイト:グローバルXHP
10%超えの高配当ETFはなかなか無いので、心がざわつきますね。
「QYLD」は、GAFAMなどのハイテク企業が集まる、NASDAQの上位100社の銘柄でカバードコールを行います。
個人でカバードコールを行うのはなかなか大変ですが、このETFは勝手にカバードコールをやってくれて、その分のリターンだけ貰うことができます。
ただし株価が上昇する局面では、真っ当にNASADAQ上位100社に投資できるETF「QQQ」のリターンを必ず下回る運命にあります。「QYLD」自体の資産価格上昇は望めまないでしょう。
そこそこの純資産総額なので、流動性の観点はあまり心配はいらなそうです。ただ、なかなか難しい内容なので、うかつに手を出すものではないでしょう。
QYLDの詳細は、「【配当利回り10%!?】超高配当ETF「QYLD」はあり?カバードコール戦略ってなに?」で解説しています。
BDC銘柄【ARCC】 *ETFではない
これまで紹介した銘柄は全てETFですが、この「BDC銘柄」はETFではなく、個別銘柄となっています。かなりの高配当なので紹介したいと思います。
BDCとは”Business Development Companies”の略で、資金調達が難しい中小企業や新興企業に、資金を融通する事業を行っています。ベンチャーキャピタルの亜種のような感じですね。
個別銘柄ではありつつも、BDCの先にある企業群に投資することになるので、分散の意味ではETFに近い存在。ただBDC自体は一つの企業なので、破綻すればオジャンです。そういう意味ではETFよりハイリスクです。
一応個別銘柄なので、経費率の概念は存在しません(つまり0%)。
そんなBDC銘柄で代表的な一つが「Ares Capital Corporation」です。
会社 | Ares Capital Corporation |
ティッカー | ARCC |
ポートフォリオ | 約350社の中小企業 |
配当利回り | 8〜10%程度 |
分配月 | 3月・6月・9月・12月 |
時価総額 | 約90億ドル |
設立 | 2004年 |
*参考サイト:Ares Capital Corporation
BDCは利益の90%以上を、投資家に還元することで法人税の免税を受けている特殊な業態です。仕組みはREITと同様で、ここが高配当の源泉になっています。
投資先が必然的に信用力の低い会社になってくるのでリスクはありますが、リスクを分散させる一定の配慮はされています。選択肢としては、アリなのかなと。
BDC銘柄の詳細は、「【高配当株の終着点?】BDC銘柄とは?「ARCC」含む日本で買えるBDC銘柄はこれだ!」で解説しています。ARCC以外の銘柄も紹介しています。
【重要】米国高配当ETFで注意すべき3つのこと
多くの銘柄を紹介させていただきました。思わず心が奪われてしまいそうな高配当銘柄もありましたね。
ですが高配当ETFに投資する上で、絶対に注意しなければならない点が3つあります。
高配当ETFに投資するときの注意点
- トータルリターンが市場平均に負ける可能性が高い
- 理解できない商品に手を出してはいけない
- 確定申告はほぼ必須と考えるべし
それぞれ見ていきましょう。
注意①:トータルリターンが市場平均に負ける可能性が高い
これが高配当ETFの最大の弱点となります。高配当ETFは、「S&P500」や「全米株式」といったインデックスにトータルリターンで負ける可能性が高いです。
トータルリターンとは、株価の値上がり+配当の総リターンのこと。言い換えると、高配当ETFは配当が多い代わりに、株価の値上がりは市場平均を下回るということです。
主な理由は、配当が高い企業はすでに成熟しており、新興企業のような株価の値上がりが期待できないからです。新興企業は事業への投資を優先するために、配当が少ない傾向にあります。無配も普通にあります。
もし老後資金やFIREのための資産形成であれば、高配当ETFではなく、普通にインデックス投資をした方が、蓄財ペースは早いと思われます。
注意②:理解できない商品に手を出してはいけない
今回紹介したETFには、配当が高い代わりに理解しづらい商品もあります。カバードコールやBDCは取っつきにくいと感じた人も多いでしょう。
もしイマイチよくわからないなと感じたら、その商品に投資するのはやめた方が賢明です。中身がわからないということは、そのリターンを得るために、どのようなリスクが内在しているかわからないということ。
もう少し具体的に言うと、「その投資によってあなたの懐に入る配当は、誰が払ったお金で、なぜそれだけの額を払ってくれるのか」を理解すべしということです。
これは高配当ETFだけに限りませんし、金融商品への投資に限った話でもありません。勉強のために投資するのも一つの手ですが、それなら少額に抑えた方が良いでしょう。
注意③:確定申告はほぼ必須と考えるべし
ここは見落としがちな点ですが、米国高配当ETFに投資をするなら確定申告は必須です。法律上必須なわけではありませんが、しないと損します。
配当金は、勝手に税金を徴収されてから投資家に支払われるのですが、米国で10%、日本国内で約20%が徴収されており、都合約28%の税金が差っ引かれています。
日米の両国で二重課税になっており、本来は払わなくても良い税金が差っ引かれていることになります。二重課税になっている分は、確定申告をすれば取り返すことが可能です。
具体的な数字を出すと、もし年間100万円の配当があったとしたら、約28万円が源泉徴収され、あなたの手元に入ってくるのは約72万円です。確定申告をすると、二重課税になっている約8万円を取り戻せます。
年8万円の配当を得るためには、種銭が200万円程度必要です。そう考えれば、確定申告をしないことがどれだけ不利かわかりやすいかなと思います。
詳細は、「【米国株で損してない?】配当金の二重課税を「外国税額控除」で取り戻す方法」をチェックしてください。米国高配当ETFでは必須科目となっています。
まとめ:目的を定めて高配当ETFに投資しよう
今回は、数多くの米国高配当ETFの銘柄を紹介させていただきました。併せて、高配当ETFに投資する上での注意点もお話ししました。
どの銘柄がオススメかはその人によりますが、もし配当をつつ、トータルリターンも出していきたいなら、【SPYD・HDV・VYM】の定番3商品をオススメします。
今後も株価の上昇が期待できる米国企業に投資しているので、長期積み立ての対象になるという意味でもこの3つかなと。ポートフォリオのコアも張れる選手だと思います。
VYM・HDV・SPYDの詳しい内容は「【大解剖】高配当ETF「VYM・HDV・SPYD」を徹底比較!」をチェックしてみてください。
他の選択は、【SPYD・HDV・VYM】より配当が大きいものもありますが、構造上株価が上がりにくいものが多い印象。長期保有した場合のトータルリターンでは劣ってしまうでしょう。
そういった銘柄は、ポートフォリオのメインにすべきではないですね。特に10%近い超高配当銘柄はリスクもそれなりなので、もしチャレンジするとしても資産の一部(数%程度)にとどめましょう。
というわけで、自分のリスク許容度に合った高配当ETFを選ぶのが大切ですね。
米国ETFは、高配当系以外にも魅力的な商品がたくさんあります。定番の米国ETFの紹介記事もチェックしてみてください。これから米国株投資をする人は、知っておきたい銘柄ばかりです。