隠れた高配当株である「BDC銘柄」を知っている人は多くないと思います。配当利回りは8〜10%とかなり高水準です。
BDCは中小企業へ資金融通している会社で、ベンチャーキャピタルの従兄弟みたいな感じです。構造はREITによく似ていて、収益の90%を株主に還元することで、高い利回りを実現しています。
この記事では、
- BDC銘柄とは何か?
- 日本で買えるBDC銘柄はどれ?
- BDC銘柄の配当・チャート
- BDC銘柄のメリットデメリット
を解説しています。
もちろん超高配当にはそれなりの理由がありますが、このレベルの超高配当系の中では、比較的アリな部類ではないかと思います。
投資するか否かは置いておいたとしても、インカム狙いで投資をしたい人なら知っておいて損はない情報だと思います。ぜひ最後までチェックしてみてください。
BDC銘柄とは?
BDCとは”Business Development Companies”の略で、直訳すると「事業開発会社」。その名の通り、事業開発という業務を行なっている米国の会社を指します。
ここでいう事業開発とは、中小企業や新興企業に資金を融通しつつ、事業の成功をサポートすることです。やっていることはベンチャーキャピタルとよく似ていますね。
ベンチャーキャピタルは超富裕層や機関投資家からお金を募っているので、我々一般人には縁遠い存在。一方のBDCは、株式市場を通じて一般投資家でも投資ができる特徴があります。
ベンチャーキャピタルと同様に、信用の低い企業への資金を行なっていることから、高いリターンを期待できます。
BDCの仕組み(REITとほぼ同じ)
さてそんなBDCには、次の特徴があります。
BDC銘柄の6つの特徴
- クローズエンド型の投資会社である
- 中小規模の未公開企業に投資している
- 投資利益の90%を株主に還元している
- 法人税が免除されている
- 単一銘柄がポートフォリオに占める比率はMAX25%まで
- ポートフォリオの70%以上を適格資産に投資する
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「クローズエンド型」とは、「今すぐ換金 or 解約させろ!」とファンドに言っても取り合ってもらえないタイプの投資を指します。その代わり、証券取引所を通じて売買することになります。
利益の90%以上を株主に還元する代わりに、パススルー(法人所得税の免除)を受けている点は、REITやMLPと同じです。
- REIT:オフィスや商業施設などの不動産に投資
- MLP:天然ガスの設備に投資
- BDC:未公開の中小企業への投資
もちろん、われわれ投資家は普通に税金を払うわけですが、その前段階の法人税が免除されているので、投資家への実入りも大きくなるわけです。
BDCの場合は、それに加えてリスクが高い未公開企業に投資をしていることが、超高配当の源泉になっています。
この法人税免除を勝ち取るために、BDCは当局の監視下に置かれています。そのおかげで、過度なリスクから投資家を守るため、安全性への一定の配慮がなされています。
BDCのETF「BIZD」の構成銘柄をチェック
個々のBDC自体は一つの企業なので、株式市場では個別銘柄と同じ扱いです。そんなわけで、米国株にはたくさんのBDC銘柄が存在しています。
そんなBDC達にマルっと投資できるのが、「BIZD」というETFです。残念ながら日本の証券会社では取り扱いがありません…。
ただこのETFに含まれている上位銘柄は、代表的なBDC銘柄と言えそうですね。ここをさらっていきたいと思います。
順位 | 銘柄 | ティッカー | 構成比率 |
1位 | ARES CAPITAL CORP | ARCC | 15.62 |
2位 | FS KKR CAPITAL CORP | FSK | 10.95 |
3位 | OWL ROCK CAPITAL CORP | ORCC | 8.28 |
4位 | MAIN STREET CAPITAL CORP | MAIN | 5.07 |
5位 | HERCULES CAPITAL INC | HTGC | 5.06 |
6位 | PROSPECT CAPITAL CORP | PSEC | 4.71 |
7位 | SIXTH STREET SPECIALTY LENDING INC | TSLX | 4.55 |
8位 | GOLDMAN SACHS BDC INC | GSBD | 4.51 |
9位 | GOLUB CAPITAL BDC INC | GBDC | 4.49 |
10位 | NEW MOUNTAIN FINANCE CORP | NMFC | 4.02 |
トップは「ARES CAPITAL CORP」で、ここがBDCの最大手です。まだ日本では知名度の低いBDCの中では、かなり名が知られた銘柄となっています。
日本で買えるBDC銘柄 6選
「BIZD」の構成銘柄TOP10になっている代表的なBDC銘柄が、日本の証券会社で取り扱われかを確認してみました。
対象は、米国株の取り扱いで定評のある、【SBI証券・楽天証券・マネックス証券】の3社です。
銘柄 | SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 |
ARES CAPITAL CORP | × | ◯ | × |
FS KKR CAPITAL CORP | × | × | × |
OWL ROCK CAPITAL CORP | × | ◯ | × |
MAIN STREET CAPITAL CORP | × | ◯ | × |
HERCULES CAPITAL INC | × | ◯ | × |
PROSPECT CAPITAL CORP | × | ◯ | × |
SIXTH STREET SPECIALTY LENDING INC | × | × | × |
GOLDMAN SACHS BDC INC | × | × | × |
GOLUB CAPITAL BDC INC | × | × | × |
NEW MOUNTAIN FINANCE CORP | × | ◯ | × |
以前は、SBIとマネックスも取り扱っていたのですが、取り扱い停止になってしまいました。理由は、日本で取り扱うための金融庁長官への届出が出ていなかったからだそうです。
「じゃあなんで楽天証券は扱ってるの?」という疑問は湧きますが、今のところBDC銘柄に投資するなら楽天証券だけということになります。
続いては楽天証券でも取り扱っている6銘柄をざっと見ていきましょう。
①ARES CAPITAL(ARCC)
会社名 | Ares Capital Corporation |
ティッカー | ARCC |
分配月 | 3月・6月・9月・12月 |
時価総額 | 約89億ドル |
設立 | 2004年 |
*参考サイト:Ares Capital Corporation
BCD銘柄で最大手が、「ARCC」です。創業は2004年とそこそこ歴史が長く、リーマンショックも経験しています。
ARCCのサイトから、資産内訳を見ることができました。
8割以上が「シニアローン」となっています。シニアローンとは、返済の優先順位が高い債権のこと。銀行の融資も大抵はシニアローンのはずです。
融資先企業が破綻してしまった場合は、まずシニアローンの債権者が残資産を受け取り、それでも余ったら、優先順位が低い劣後債や優先株の債権者に回ります。
中でも割合が多いのは、
- First lien senior secured loans:第一抵当権シニアローン
- Second lien senior secured loans:第二抵当権シニアローン
です。カンタンにいえば不動産などを担保を取っており、ARCCは1番目か2番目に担保分の弁済を受けられるということです。
ベンチャーキャピタルの場合は出資の見返りに株式を取得するので、出資先が潰れたら丸損です。一方、ARCCのようにシニアローンであれば、リスクはある程度緩和されています。
ARCCのチャート
設定以来のチャートを見ると、概ね株価は維持しているようです。配当メインなので株価の上昇は期待できるものではありません。横ばいであればOKでしょう。
ただ暴落の局面では、けちょんけちょんに下がっています。リーマンショック前は20ドル程度だった株価は、Min3.21ドルまで落ち込んでいます。
BCDの融資先は信用の低い中小企業なので、不況になると債務不履行が危ぶまれます。そのため暴落時の落ち込みっぷりは極大。これはBCDの性質上しょうがないです。
ただ、リーマンショック、チャイナショック、コロナショックの暴落を乗り越えて、なんだかんだで株価が元の水準まで回復しているのは安心材料ですね。
ARCCの配当履歴
年 | 配当(米ドル) | 期末株価(米ドル) | 配当利回り |
2005 | 1.2736 | 16.07 | 7.93% |
2006 | 1.2154 | 19.11 | 6.36% |
2007 | 1.6348 | 14.63 | 11.17% |
2008 | 1.6544 | 6.33 | 26.14% |
2009 | 1.4477 | 12.45 | 11.63% |
2010 | 1.3788 | 16.48 | 8.37% |
2011 | 1.3886 | 15.45 | 8.99% |
2012 | 1.5794 | 17.50 | 9.03% |
2013 | 1.5563 | 17.77 | 8.76% |
2014 | 1.5638 | 15.61 | 10.02% |
2015 | 1.5683 | 14.25 | 11.01% |
2016 | 1.5184 | 16.49 | 9.21% |
2017 | 1.5184 | 15.72 | 9.66% |
2018 | 1.5384 | 15.58 | 9.87% |
2019 | 1.6800 | 18.65 | 9.01% |
2020 | 1.6000 | 16.89 | 9.47% |
これだけ長期にわたって高配当を続けているのはスゴイですね。安定感があります。
やはり歴史があることは、一定の安心材料になります。
②OWL ROCK CAPITAL CORP(ORCC)
会社名 | Owl Rock Capital Corporation |
ティッカー | ORCC |
分配月 | 1月・5月・8月・11月 |
時価総額 | 約56億ドル |
設立 | 2019年 |
*参考サイト:Owl Rock Capital Corporation
「ORCC」は2019年に上場した新しいBCDです。ですが、いきなり業界トップクラスの規模感となっています。
ORCCも資産の割合を確認できました。
こちらは、「第一抵当権シニアローン」と「第二抵当権シニアローン」の割合が、ARCCより高く、よりリスクの低いポートフォリオになっています。
ORCCのチャート
ORCCは2019年上場で、同年最高値を記録したあと、コロナショックで落ち込んでいます。執筆時点ではコロナショックから回復しきっていません。
ここから回復できるのか、回復し切らずズルズルと下値を切り下げていくのか。評価には今しばらくの時間が必要です。
ORCCの配当履歴
年 | 配当(米ドル) | 期末株価(米ドル) | 配当利回り |
2020 | 1.560 | 12.66 | 12.32% |
ORCCは上場から日が浅いので、まる一年取れている配当実績はこれだけです。
2020年はコロナショックで分母の株価が下がっているので、配当利回りのパーセンテージが大きくなっている感があります。評価にはもう少し時間が必要です。
③MAIN STREET CAPITAL CORP(MAIN)
会社名 | Main Street Capital Corporation |
ティッカー | MAIN |
分配月 | 毎月 |
時価総額 | 約28億ドル |
設立 | 2007年 |
*参考サイト:Main Street Capital Corporation
「MAIN」もほどほどに歴史があり、日本でもちらほら名前が上がるBDC銘柄です。毎月配当となっているので、高配当好きの人はそそられるかもしれませんね。
MAINのチャート
MAINは、BDC銘柄の中では珍しく株価が上昇しています。早くに投資していた人は、高配当にプラスしてキャピタルゲインまで得られています。
ただ上場のタイミングがリーマンショックと被っているので、安値で始まり、回復相場で株価を上げていった感じ。もう少し上場が早ければ、ARCCと同じようなチャートになったのではないでしょうか。
コロナショックからもきっちり回復していて、ARCCと同じくらいに評価できそうです。
配当履歴
年 | 配当(米ドル) | 期末株価(米ドル) | 配当利回り |
2008 | 1.425 | 9.77 | 14.59% |
2009 | 1.5 | 16.12 | 9.31% |
2010 | 1.5 | 18.19 | 8.25% |
2011 | 1.56 | 21.24 | 7.34% |
2012 | 1.71 | 30.51 | 5.60% |
2013 | 2.66 | 32.69 | 8.14% |
2014 | 2.545 | 29.24 | 8.70% |
2015 | 2.65 | 29.08 | 9.11% |
2016 | 2.725 | 36.77 | 7.41% |
2017 | 2.785 | 39.73 | 7.01% |
2018 | 2.845 | 33.81 | 8.41% |
2019 | 2.905 | 43.11 | 6.74% |
2020 | 2.46 | 31.35 | 7.85% |
増配の傾向が見て取れるのは良いですね。株価が上がっているので、利回りのパーセンテージが下がっているのはしょうがないかなと。それでも十分高いですが。
④HERCULES CAPITAL INC(HTGC)
会社名 | Hercules Capital, Inc. |
ティッカー | HTGC |
分配月 | 3月・5月・8月・11月 |
時価総額 | 約20億ドル |
設立 | 2005年 |
*参考サイト:Hercules Capital, Inc.
「HTGC」もARCCと同じくらい歴史のあるBDCです。テクノロジー系が強いみたいです。
HTGCのチャート
HTGCもリーマンショックを経験しています。
チャートは凸凹が大きく、ボラティリティはARCCより大きい感じ。ただ株価は一応維持しているようです。
配当履歴
年 | 配当(米ドル) | 期末株価(米ドル) | 配当利回り |
2006 | 1.1816 | 14.25 | 8.29% |
2007 | 1.1816 | 12.42 | 9.51% |
2008 | 1.2998 | 7.92 | 16.41% |
2009 | 1.2408 | 10.39 | 11.94% |
2010 | 0.7908 | 10.36 | 7.63% |
2011 | 0.87 | 9.44 | 9.22% |
2012 | 0.9393 | 11.13 | 8.44% |
2013 | 1.0974 | 16.4 | 6.69% |
2014 | 1.226 | 14.88 | 8.24% |
2015 | 1.226 | 12.19 | 10.06% |
2016 | 1.226 | 14.11 | 8.69% |
2017 | 1.226 | 13.12 | 9.34% |
2018 | 1.2463 | 11.05 | 11.28% |
2019 | 1.3194 | 14.02 | 9.41% |
2020 | 1.38 | 14.42 | 9.57% |
配当はぼちぼち安定しています。
株価の値動きが激しいので、利回りのパーセンテージも凸凹していますが、概ね10%前後とかなり高配当となっています。
⑤PROSPECT CAPITAL CORP(PSEC)
会社名 | Prospect Capital Corporation |
ティッカー | PSEC |
分配月 | 毎月 |
時価総額 | 約32億ドル |
設立 | 2004年 |
*参考サイト:Prospect Capital Corporation
「PSEC」も古くからあるBDCです。
「第一抵当権シニアローン」と「第二抵当権シニアローン」が資産の8割を占めているとのことで、資産の安全性には配慮されています。
PSECのチャート
PSECも日本では割と名前が知られているみたいなんですが、その割には良くないチャートですね。
暴落相場から回復せずに、ズルズル下値を切り下げていっています。これは買う気が失せる値動きの仕方です。
配当履歴
年 | 配当(米ドル) | 期末株価(米ドル) | 配当利回り |
2005 | 0.755 | 15.07 | 5.01% |
2006 | 1.405 | 17.13 | 8.20% |
2007 | 1.565 | 13.05 | 11.99% |
2008 | 1.6074 | 11.97 | 13.43% |
2009 | 1.6276 | 11.81 | 13.78% |
2010 | 1.1141 | 10.8 | 10.32% |
2011 | 1.2152 | 9.29 | 13.08% |
2012 | 1.2271 | 10.87 | 11.29% |
2013 | 1.3219 | 11.22 | 11.78% |
2014 | 1.3256 | 8.26 | 16.05% |
2015 | 1.0269 | 6.98 | 14.71% |
2016 | 0.9996 | 8.35 | 11.97% |
2017 | 0.9064 | 6.74 | 13.45% |
2018 | 0.66 | 6.31 | 10.46% |
2019 | 0.72 | 6.44 | 11.18% |
2020 | 0.78 | 5.41 | 14.42% |
減配傾向にあるのが気にかかります。配当利回りのパーセンテージが高いのは株価が一緒に落ちているからなので、配当利回りだけ見て飛びついてはいけません。
⑥NEW MOUNTAIN FINANCE CORP(NMFC)
会社名 | New Mountain Finance Corporation |
ティッカー | NMFC |
分配月 | 3月・6月・9月・12月 |
時価総額 | 約13億ドル |
設立 | 2011年 |
*参考サイト:New Mountain Finance Corporation
「NMFC」は比較的新しいBDCで、リーマンショック後の設立です。
余談ですが、公式サイトが簡素な感じで、この会社大丈夫なのかな?と少し気になりました。
NMFCのチャート
NMFCはリーマンショック後の上場です。チャートは概ね横ばいで、コロナショックで値下がりしましたが、概ね回復しているようです。
ちょっと傾きが下がり気味なのは気になりますが。
配当履歴
年 | 配当(米ドル) | 期末株価(米ドル) | 配当利回り |
2012 | 1.6627 | 11.49 | 14.47% |
2013 | 1.4627 | 15.04 | 9.73% |
2014 | 1.4746 | 14.94 | 9.87% |
2015 | 1.36 | 13.02 | 10.45% |
2016 | 1.36 | 14.1 | 9.65% |
2017 | 1.36 | 13.55 | 10.04% |
2018 | 1.36 | 12.58 | 10.81% |
2019 | 1.36 | 13.74 | 9.90% |
2020 | 1.24 | 11.36 | 10.92% |
配当は概ね安定しているようです。2020年は減配しています(コロナの影響?)。配当利回りはほぼ10%を維持しています。
わたしが投資する可能性があるとしたら…
日本で買える有力そうなBDC銘柄を見てみました。この中から候補に上がるとしたら、
- 株価が下落傾向ではない(横ばいは可)
- 配当が下落傾向ではない(横ばいは可)
- 歴史が長く、複数の暴落局面を経験している
の条件に合致するものですね。
やっぱり資産価値が下がる物は持ちたくないです。なので株価は少なくとも横ばいであって欲しいです。配当目的になるので、株価上昇までは欲張りません。
加えて、多少の凸凹はあっても、配当が右肩下がりじゃない銘柄を選びたいところです。
となると、次のようになるかなと思います。
- ARCC → ◎
- ORCC → 判断つかず(上場から日が浅いため)
- MAIN → ◎
- HTGC → ○
- PSEC → ×
- NWFC → △
BDC銘柄のメリット/デメリット
BDC銘柄は良くも悪くも尖った存在なので、メリット/デメリットもそれなりにはっきりしています。
同じようなインカム系商品に、高配当ETFやジャンク債がありますが、これらと比べて優れている・劣っている点を考えてみたいと思います。
BDC銘柄のメリット
一般投資家がアクセスできない未公開企業に投資できる
これがBDC銘柄の一番の特徴ですね。
ベンチャーキャピタルは、リスクは高いながらも魅力ある未公開企業に投資して、高いリターンを得ています。しかしながら、そこは個人の一般投資家には手の届かない領域。
そんな魅惑の未公開企業にアクセスできるようにしてくれたのがBDCです。しかもBDCは数百銘柄に投資しています。BDCへの投資は、ETFみたいな感じでリスクも分散できます。
かつ投資先企業の審査はBDCが行っていて、本当に金を返さなそうなヤバい企業は切ってくれるはず。そういう意味でも、有象無象の未公開企業に、比較的安全に投資できる手段となっています。
これ以上ないくらいの高配当
高配当株やRIETは高いといっても5%くらいの配当利回りですが、BDC銘柄なら10%まで狙えます。ここまでの高配当はそうそうありません。
10%の配当と聞いたら基本的にはヤバいと思った方が良いですが、その手の中ではBDC銘柄は比較的まともに感じます。
高配当の源泉は、
- REITと同様に、90%以上の利益を株主に還元している
- 信用が低い企業に投資している
となっており、個人的にはある程度納得感があるように思います。
信用が低い企業に投資しているのは、もちろんリスクです。ですが中には、そこそこ長い歴史があり、複数の暴落相場から回復している銘柄があることもまた事実です。
BDC銘柄のデメリット
普通の株式よりも暴落に弱い
BDC銘柄の主たるリスクは株価の暴落です。
景気が悪くなると、BDCの融資先が債務不履行になる可能性が高まるので、これは受け入れるしかありません。なんせ体力のない中小企業が相手ですから。
格付けの低いジャンク債も同じような動きをしますが、未公開企業に融資しているBDCはそれ以上に値下がりします。
さしづめBDC銘柄は、「超ジャンク債」ってな感じです。このリスクを許容するからこそ、ハイリターンが望めるわけです。
BDC融資先の情報開示は多くは望めない
BDCの融資先は未公開企業です。上場企業のような情報開示義務はなく、そもそもそのような社内制度も整っていなければ、そこに割くリソースもないでしょう。
頑張ったらいくらかの情報は見つかるかもしれませんが、それでも上場企業ほどではありません。ここはBDC側の審査を信用するしかないのかなと思います。
分散されていても、BDC銘柄は一企業への投資になる
いくらBDCが多数の企業に投資しているとしても、各BDCは一つの事業会社です。もしBDCが破綻すれば、その株式も紙屑になってしまうでしょう。
実際にはいくらかの配慮がありそうですが、ブラックロックやバンガードといった大手ファンドのETFに投資する安心さとは比較になりません。
BDC銘柄に投資できるETFに「BIZD」があるのですが、残念ながら日本の証券会社では購入できません。できるならETFの方が良いなと思うところですが。
日本の証券会社でも取り扱いが薄い
BDCの個別銘柄であっても日本での取り扱いはかなり少ないです。米国株をやっている人なら、SBI証券、マネックス証券のユーザーが多いと思いますが、いずれも取り扱いなしです。
唯一取り扱いがあるのは楽天証券ですが、いつまで購入できるかは定かではありません。この辺りも大きなデメリットです。
まとめ:リスクはあるけど選択肢としてはアリ
今回は高配当株の有力ジャンルになるかもしれないBCD銘柄を紹介しました。一般の個人投資家は触れる機会のない、未上場企業に投資できるとあって面白いですね。
高配当すぎて胡散臭さはありますが、仕組みはREITと同じと考えれば、一定の理解はできるのかなと。怪しい高配当な投資信託よりはマシに思います。
リスクの高い投資先にはなると思いますが、リーマンショック前から安定して高配当を維持しているもの銘柄もあるので、一定の成果は歴史が証明しているのかなと。
暴落相場にはかなり脆弱ではありますが、時間をかければ元に戻ることが、ある程度わかっています。ガクッと値下がりしたときに買えると尚良しですね。
最大手の「ARCC」などは投資してみても良いかな?と思わせてくれます。ただ投資先は分散されていても、各BDCは一企業。集中投資は避けましょう。あくまでサテライトということで。
高配当株には色々と種類があります。「金の卵を産む「米国高配当ETF」を一挙紹介!【SPYD・HDV・VYMだけじゃないぞ!】」では、定番からややマイナーなものまで紹介しています。
インカム重視で投資する人は、こちらもチェックしてみてくださいね。