インデックス投資家が最後に行き着く深淵な問題が、「米国株オンリーで行くか?全世界株式で行くか?」の2択。これはホントに難しい問題で、有識者でも意見が真っ二つに分かれます。
ほとんどの投資家は、基本的には米国株メインで行くのが共通理解で、そこに他の諸外国を加えるかどうかが焦点になってきます。
この記事では、
- 米国株式派はなぜ、1カ国だけで良いと思う理由
- 世界の国々をポートフォリオに加える意義
- 米国株式と全世界株式のパフォーマンスの違い
- 両者をミックスするのがNGな理由
を解説しています。
深淵な問題に見えますが、個人的には結論が出ています。米国一強の未来を100%信じられるなら「米国株式」、そうでないなら「全世界株式」を選ぶのが良いでしょう。
ぜひ米国株式派の人も、全世界株式派の人も、あるいは迷っている人も、それぞれの主張に耳を傾けて、納得した選択をしましょう。
この記事を読めば、自分が米国オンリーが向いているか、全世界が向いているか、判断できるようになると思います。インデックス投資をする人は、ぜひチェックしてみてください!
「米国株式」と「全世界株式」に投資できる商品
まず初めに、日本で「米国株式」と「全世界株式」に投資する場合の有力な選択肢を見ていきましょう(知っている人は次の章まで飛ばしてください)
「米国株式」に投資できるETF・投資信託
銘柄 | ベンチマーク | 経費率 |
【ETF】 | ||
SPY | S&P500 | 0.09% |
IVV | 0.03% | |
VOO | 0.03% | |
VTI | CRSP USトータル・マーケット・インデックス | 0.03% |
【投資信託】 | ||
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | S&P500 | 0.0968% |
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | 0.0938% | |
SBI・V・全米株式インデックス・ファンド | CRSP USトータル・マーケット・インデックス | 0.0938% |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 0.162% |
米国に投資する場合は主に、米国を代表する株価指数「S&P500」と、米国のほぼ全ての上場企業が含まれる「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」の2パターンがあります。
両者違いはあるものの、「全世界株式」との比較においては瑣末な違いでしかありません。詳しい違いを知りたい人は、S&P500 vs 全米株式の比較記事をチェックしてみてください。
「全世界株式」に投資できるETF・投資信託
銘柄 | ベンチマーク | 経費率 |
【ETF】 | ||
VT | FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス | 0.08% |
【投資信託】 | ||
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー) | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス | 0.1144% |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド | FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス | 0.1102% |
米国株オンリーの銘柄に比べ、全世界株式は経費率がやや高めになっています。
これでも十分安いので問題にはなりませんが、米国株インデックスのETFの経費率があまりにも安すぎるので、ちょっと開きがあります。
世界で人気があるのは「米国株式」
「米国株式」と「全世界株式」の人気は、日本ではあまり差がないように思いますが、世界レベルで見ると「米国株式」の圧勝です。
ETFや投資信託における人気のバロメーターは、「純資産総額」です。投資家からどれだけ多くの資金が集まっているかを示しています。
世界の投資マネーが集まる米国ETFでは、次のような値になっています。
【米国株系インデックス】
- SPY:4,000億ドル
- IVV:3,100億ドル
- VOO:7,800億ドル
- VTI:1兆3,000億ドル
【全世界株式インデックス】
- VT:330億ドル
米国株系のインデックスは、ジャンルとしては他の追随を許さない圧倒的No.1。全世界株式は、世界標準で見るとマイナーな選択肢となっています。
絶対に理解したい「全世界株式」の中身
「米国株式」か「全世界株式」かを論ずる前に、全世界株式の構成国の割合を理解しておかなければなりません。
以下は、「eMAXIS Slim 全世界株式」などで採用されているベンチマークの構成国割合です。ちなみに他の全世界株式でも大体同じです。
インデックス投資のほとんどは、時価総額加重平均を採用しています。時価総額が大きい銘柄や国の割合が、自動的に大きくなるように計算されます。
特徴①:半分以上は米国株
「全世界株式」と言いつつ、米国株の割合が過半数を超えていますね。時価総額加重平均で計算した結果なので、これが世界の株式市場の縮図なのです。
全世界株式は、地球上の人類の発展に投資するコンセプトです。世界中の国々に分散投資できる商品ではありますが、世界中にリスク分散をしているとは言えません。
米国がコケたときは、全世界株式も盛大にすっ転びます。米国100%投資よりは、いくぶんマシかもしれませんが、被害は甚大です。ここは決して忘れてはいけません。
特徴②:新興国株は10%ほどしかない
「全世界株式」に投資する人の中には、新興国に高いリターンを期待している人が少なくないと思います。
実は全世界の株式市場の縮図で言えば、新興国市場は10%程度しかありません。
もちろん、中国やインド、ブラジル、インドネシアなどが成長すれば、全世界に占める割合も増えていきます。ただ、新興諸国の成長過程のリターン実感はほぼないと思われます。
例えば、中国の時価総額が3年で+100%(つまり2倍)成長したとしましょう。これはとんでもない成長率です。ですが、全世界株式のリターンは+5%かそこらにしかなりません。
一方で過半数を占める米国が、これまでの平均通りに1年間で+10%成長すれば、1年間で+5%のリターンになります。
全世界株式の構成国を解説している記事も参考にしてみてください。
「全世界株式」に投資している人は、なんとなく全世界に分散しているからリスクも分散できていると思っています。加えて、新興国の成長もしっかり享受できると思っています。
全世界株式は、世界の経済成長にベットする意味では、洗練された実に美しい商品。ですが、リスク分散を目的とした商品ではなく、新興国のリターンを狙う商品でもありません。
【米国株派】米国だけで良いと考える5つの理由
米国オンリーで投資する人は、総合的に見て、「米国以外の国に投資する意味はない」と考えています。
なぜそう思えるのか?その理由に、次の5つがあります。
米国株式派の理由
- 米国より低成長の国に投資する必要がない
- 世界中の経済成長も米国が取り込める
- 全世界株式に投資してもリスク分散にならない
- 新興国投資は余計なリスクを引き受けることになる
- 世界的な投資家が米国株信奉者だから
それぞれ見ていきましょう。
理由①:米国より低成長の国に投資する必要がない
まず事実として、歴史的見て米国株は、その他全ての国のリターンを上回っています。
- 「米国株」
- 「米国を除いた先進国株」
- 「新興国株」
のトータルリターンを比較すると次のようになります。
米国株 | 米国以外の先進国株 | 新興国株 | |
年平均成長率 | 11.01% | 5.54% | 6.55% |
*1995-2021年のデータより
見ての通り、米国株の圧勝ですね。
米国は世界一のGDPを誇る経済大国。主要先進国の中では唯一、今後も人口増加が見込まれている国です。人口が増えれば内需も増えるので、ますますの成長が期待できます。
他には、公用語が英語というのもあるでしょう。アメリカ人は生まれた瞬間からグローバル人材であり、米国産のサービスやメディアは作られた瞬間からグローバル展開が可能です。
他の国の企業は、自国の市場をメインでビジネスをしているのに対し、米国は世界を市場にビジネスをしているので、ここは明確に差がつくポイントです。
理由②:世界中の経済成長も米国が取り込める
米国の大企業は、そのほとんどがグローバル企業です。S&P500の構成企業の収益の約半分は、米国以外からもたらされています。
もし今後に新興国が目覚ましい経済発展を遂げて、需要が爆増したとしても、そこに根を張っている米国企業はしっかりと恩恵を受けられるわけです。
つまり米国に投資していても、実際には、半分程度は全世界に投資しているのと変わらないという見方もあります。
理由③:全世界株式に投資してもリスク分散にならない
前の章でも少し触れましたが、全世界株式に投資しても半分は米国なので、リスク分散にはなりません。
米国株100%の「VTI」と、全世界株式の「VT」の相関係数を見てみましょう。
「0」なら両者は値動きは一切連動していない、「1」なら完全に一緒に動いている、という意味です。ほとんどの期間で0.7〜1の間で推移しているので、両者はかなり連動しています。
米国が半分占めているので当然と言えば当然の結果。他には、ビジネスの垣根が国境を越えるようになってきたことで、各国の経済がより連動するようになった側面もあります。
それどころか、リスクは増しているというデータもあります。
先程の3者のリターンに、リスクに関する指標も加えるとこんな感じになります。
米国株 | 米国以外の先進国株 | 新興国株 | |
年平均成長率 | 11.01% | 5.54% | 6.55% |
標準偏差 | 15.38% | 16.39% | 22.44% |
最大下落幅 | -50.89% | -57.06% | -62.70% |
シャープレシオ | 0.62 | 0.28 | 0.30 |
*1995-2021年のデータより
株式投資のリスクは、「標準偏差」で測ります。標準偏差は統計学の用語で、データのばらつきの大きさを表します。投資の世界においては、値動きの激しさを意味しています。
リターンが最も高い米国が、もっとも低い標準偏差(リスク)になっていますね。リスク・リターンの効率性を示す「シャープレシオ」も、米国株の圧勝です。
理由④:新興国投資は余計なリスクを引き受けることになる
全世界株式派は、これから経済成長著しい新興国のリターンに期待しているはず。ですが実は、新興国には投資家が敬遠したくなるリスクがあり、意外と伸びづらい傾向があります。
新興国には、独裁者国家、そこまで行かなくても一党独裁国家もザラにあります。投資家に不利な強権発動も普通にあります。投資した企業が取り潰されることだってあります。
加えて、市場を監視するシステムも未熟なので、汚職や粉飾決算のような、市場の脅威になる芽が摘まれない可能性もあります(というか多分普通に蔓延ってます)。
こういう各国が孕む固有のリスクを「カントリーリスク」と呼び、新興国はカントリーリスクのオンパレードなのです。
また新興国株に投資をしてリターンが出ても、為替のマイナスでリターンが帳消しになる可能性があります。これを「為替リスク」と呼びます。
新興国はインフレ率が先進国より高い傾向があるので、為替が弱くなりやすい傾向があります。加えてカントリーリスクが明るみに出ると、さら為替は弱くなります。
カントリーリスクや為替リスクは、新興国投資をする上で、非常に頭の痛い問題。詳細は新興国株が伸びづらい理由を解説した記事を参考にしてみてください。
理由⑤:世界的な投資家が米国株信奉者だから
米国株式派の心強い味方に、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏、バンガード創設者のジョン・ボーグル氏がいます。
両名はインデックス投資や長期投資の代名詞的存在で、この2名が米国100%で良いと発言しているのは注目に値します。
ウォーレン・バフェットは自身が代表を務めるバークシャー・ハサウェイの2020年の年次総会にて、「米国の成長を止めることはできない」「アメリカが負けることには決して賭けるな」と、米国株への強気姿勢を全面に出しています。
インデックスファンドではお馴染みのバンガードの創設者であるジョン・ボーグルは、世界中のインデックス投資家のヒーローです。彼もまた米国株投資派で、どうしても米国以外に投資をするなら、資産の20%が限度だと述べています。
【全世界株式派】世界に投資するつの理由
理論的にはかなり筋が通った米国株式派の意見に対し、それでも全世界に投資する意義はどこにあるのでしょうか?
そう思える理由に、次の3つがあります。
全世界株式派の理由
- 米国だって振るわない時期もある
- 過去がどうであれ、米国がこの先も一強とは限らない
- 学問の世界では「全世界株式」が推奨されている
それぞれ見ていきましょう。
理由①:米国だって振るわない時期もある
長い目で見ると米国株のリターンが際立って高いのですが、全ての期間においてそうだったわけではありません。米国株にも冬の時代はあります。
2000年代のリターンを比較して見ましょう。ITバブルの崩壊とリーマンショックがあった年代です。
米国株 | 米国以外の先進国株 | 新興国株 | |
年平均成長率 | -0.27% | 1.24% | 9.82% |
米国のリターンは10年間でマイナスという目も当てられない状況でした。一方で、ブームになっていた新興国投資のリターンは、非常に高いという結果でした。
お金を増やすために投資したのに、期待値を下回るどころか、10年かけてもマイナスから抜け出せないのは、多くの投資家にとって耐え難い結果ではないでしょうか。
理由②:過去がどうであれ、米国がこの先も一強とは限らない
米国が世界の覇権を握るようになったのは、20世紀前半の頃。それから100年あまり米国が世界をリードしてきました。
その前は大英帝国(イギリス)が世界を支配していました。その前はオランダだったり、ポルトガルだったり、スペインだったり、モンゴルだったりしたわけです。
世界のルールは覇権国の都合の良いルールに書き変わっていきます。現在は米国に都合の良い資本主義が世界を支配するルールになっています。
「我々が生きている間に、米国の覇権が揺らぐ可能性はあるのか?」
「NO」と言えるなら米国一国への集中投資が合理的。わずかでも「YES」の余地がある限りは、全世界に分散投資する方が理にかなっているのではないでしょうか。
ちなみに1900年以降、世界の株式市場の割合は、次のように遷移しています。
1900年頃はまだイギリスが1位でした。現在は随分とこじんまりしています。
1950年の時点で米国は世界の半分を手中に収めましたが、そこから徐々に割合が下がり、1990年頃は日本が世界で1番大きな市場になっています。その後の日本の凋落はご存知の通り。
過去100年間を見るだけでも、各国の趨勢が伺えます。この先も米国が今と同じかそれ以上の地位にいると断言するのは、なかなか難しいように思います。
理由③:学問の世界では「全世界株式」が推奨されている
投資の世界にある有名な理論に、「現代ポートフォリオ理論」があります。これを初めて提唱したハリー・マーコウィッツ氏は、1990年にノーベル経済学賞を受賞しています。
同理論では、株式や債券、古今東西を問わずあらゆる市場にあるリスク資産に対し、それぞれの時価総額の比率で組んだ「市場ポートフォリオ(Market Portfolio)」が、もっとも効率的と考えられています。
これがインデックス投資の有効性を示す根拠になっています。同理論に従えば、単一の株式よりも複数の株式、単一の国よりも複数の国に投資する方が、理に叶っています。
現代ポートフォリオ理論を体現するのが、全世界の株式に時価総額の比率通りに投資する「全世界株式」なのです。
現代ポートフォリオ理論は、インデックス投資の拠り所なので、知識として知っておくのが良いでしょう。現代ポートフォリオ理論の解説記事も参考にしてください。
結論:悩んだら「全世界株式」にするべき
ここまでの話を聞いて、
- 「俺はバフェットと同じく、アメリカを信じるから米国株オンリーで!」
- 「わたしは世界の成長に賭ける全世界株式が合ってる!」
など、人によって感じ方は違かったのではないかなと思います。
もしどちらか悩んだ時点で、あなたは「全世界株式」を選ぶべきです。悩んだ時点で、あなたは米国一強の未来を100%信じ切れなかったということになります。
将来を信じられるポートフォリオでない限り、心にわだかまりを残したまま投資し続けることになってしまいます。枕を高くして寝るためには、ちょっとやそっとでは信頼が揺るがないポートフォリオでなければなりません。
「全世界株式」は時価総額加重平均の計算によって、米国が引き続き市場をリードするなら米国の割合が多いままで、中国やインドが台頭すれば、自ずと新興国の割合が増えていきます。
「特定の国が今後成長するかはわからなくても、地球全体で見れば絶対成長するよね!」と思えるのであれば、「全世界株式」は信じるに値すると思います。
逆に言えば、これからの未来においても、米国の覇権が続くと信じられない限り、米国株式オンリーの投資はオススメできません。
「米国株式」と「全世界株式」の両方に投資はナンセンス
わたしは人様のポートフォリオにダメ出しすることは基本的にしないのですが、「米国株式」と「全世界株式」の両方に投資するのは絶対にやめた方が良いです。
おそらく両方に投資する人の心理は、甲乙つけ難いから両方投資するということなんだと思います。
ただ冒頭の通り、「全世界株式」の半分以上は米国株です。もし「米国株式」と「全世界株式」を50:50で保有するとしたら、ポートフォリオの75-80%は米国株になります。
これでは分散もへったくれもありません。悩んだ挙句、より分散が効かない選択肢を取るのはちょっと違うのでは?と思います。
構成銘柄が重複するインデックスは避けるべし
複数のインデックス投資に分けて投資する場合は、構成銘柄に重複があるものは極力避けた方が良いです。
理由は、アセットアロケーションの調整が物凄くやりづらくなるからです。アセットアロケーションとは、「米国株」や「新興国株」「米国債券」「金」といった大まかな資産クラスの配分のことです。
「全世界株式」と「米国株式」を持っていたとしましょう。将来気が変わったり、米国に影を落とすような状況が訪れた場合、米国株の割合を落としたいと思うかもしれません。
両方に米国株が入ってしまっているので、単に「米国株式」を減らすだけでなく、「全世界株式」の量も調整しなければなりません。ただそうすると他の国の比率も変わってしまいます。
「全世界株式」に他のインデックスを混ぜるべきではない
そもそも全世界株式のコンセプトは、1銘柄で世界の縮図に投資することです。世界市場の趨勢に合わせて、各国の割合が自動調整されるところに美しさがあるのです。
全世界株式を選ぶ人は、「これ一つに投資すればOK♪」という安直な理由が多いと思いますが、実はそれこそが唯一の正解ではないでしょうか?
「全世界株式を買って、新興国の割合を増やしたい人は、別途『VWO(新興国ETF)』を足して調整しましょう」みたいな意見も聞きますが、それは親切じゃないと思います。
市場環境が変われば「全世界株式」の構成国割合も変わってしまうので、むしろリバランスが大変になってしまうからです。
世界各国の比率を調整するなら「MECE」になるように銘柄を選ぼう!
自分は全世界株式派だけど、各国の割合を調整したいという人は、「MECE(ミーシー)」になるように銘柄を選ぶのが良いでしょう。
全世界に投資したいけど、新興国の割合を増やしたい(または減らしたい)人や、今は気にしないけど将来的には任意に割合を変更したい人ですね。
MECEは、「漏れなく、ダブりなく」という意味です。コンサルからビジネス全般で使われるようになった有名なフレームワークです。ビジネスマンなら知っている人も多いかと。
ETFであれば、
- VTI:全米を対象としたインデックス
- VEA:米国以外の先進国を対象としたインデックス
- VWO:新興国を対象としたインデックス
で分けるのがシンプルな組み合わせかと思います。カバー範囲は「全世界株式」とほぼ同じで、ダブりはありません。
ちなみにもっと細分化することも可能ですが、規模の小さいETFになると、流動性が下がり、経費率が高くなる傾向があることに留意してください。
細かくしすぎると、そもそも日本の証券会社では取り扱いがない場合もあります。手を広げすぎて収集つかない事態にならないようにしましょう。
「VTI・VEA・VWO」の組み合わせのメリットを解説した記事も参考にしてみてください。個人的には、「VT一本」よりこちらの方がメリットが大きいと思います。
【ちょっとマニアックだけど】ベンチマークの組み合わせに注意
ここまで言うのは少し細かすぎるかなと思いつつ、できれば気にした方が良いことがあります。
実は「先進国」と「新興国」のそれぞれ含まれる国の定義は、ベンチマークによって異なります。組み合わせを間違えると、漏れる国やダブる国が出てきてしまいます。
先進国インデックスと新興国インデックスのほとんどは、
- MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)
- FTSE(FTSEインターナショナル)
の2社のどちらかの指数を採用しています。
影響が大きいところで言うと、MSCIは韓国を新興国としているのに対し、FTSEは先進国と位置付けています。
MSCI社のベンチマークを採用した先進国インデックスと、FTSE社のベンチマークを採用した新興国インデックスで組み合わせてしまうと、韓国は投資対象から外れてしまいます。
韓国は一例ですが、他の国でもそういう事が起こる可能性が十分あります。
例えば、次のような組み合わせであればOKです。
銘柄 | ベンチマーク | 対象国 |
VEA | FTSE先進国オールキャップ(除く米国)インデックス | 米国以外の先進国 |
VWO | FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)インデックス | 新興国 |
FTSEで揃えるパターンです。「VEA」は米国が含まれていないので、別途「VTI」などの米国株式を追加しましょう。
銘柄 | ベンチマーク | 対象国 |
eMAXIS Slim先進国株式インデックス | MSCIコクサイ・インデックス | 日本以外の先進国 |
eMAXIS Slim新興国株式インデックス | MSCIエマージング・マーケッツ・インデックス | 新興国 |
こちらはMSCIで揃えるパターンです。「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」は日本が含まれていないので、必要であればTOPIXのインデックスを足せば良いかと。
ただあえて日本を入れる必要性を感じないので、このままでも良いと思います。このパターンの場合、米国と他の先進国を切り離せないので、その点はご注意ください。
ベンチマークによる先進国と新興国の定義の違いを解説した記事もあるので、より詳しく知りたい人は合わせてチェックしてみてください。