今注目のFIREの中でも、特に目指している人が多いのが「サイドFIRE」です。
なぜなら「サイドFIRE」であれば、FIREの1番のネックである資産額の積み立てが、半分で済むからです。その分、リタイア達成が早くなるので、30代でのサラリーマン卒業は十分に圏内です。
かく言うわたしも、33歳、資産3,500万円(しかも妻子持ちで!)でサイドFIREしました。本当はもう少し働いてFIREを目指していたのですが、若いうちの自由を優先し、早期リタイアを決断しました。
この記事では、実際にサイドFIREを達成したわたしが、「サイドFIREをオススメする7つの理由」を解説しています。この記事を読んでも、なお頑なにフルFIREを目指したいと思えるでしょうか?きっと「サイドFIREでいいじゃん!」と感じるはず。
この記事を読んだあなたは、当初の予定より数年早くリタイアできるでしょう。安全圏のフルFIREを目指している人は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
なおわたしがサイドFIREしたときの状況は「33歳サイドFIRE(セミリタイア)時の情報を一挙公開【年収・職業・家族構成・副業など】」で赤裸々に公開しているので、興味があったら覗いてみてください。
「サイドFIRE」とは?
まず、FIREとは「Financial Independence(経済的自立), Retire Early(早期退職)」の頭文字をとった造語です。日本人に馴染みのある言葉を使うなら、「アーリーリタイア」「早期リタイア」がこれにあたります。
生活費25年分の資産を築いて、早期リタイアするのがFIRE。FIRE達成後は資産収入のみで生活し、理論上は元本を減らさずに一生を終えることができます。FIRE達成後は労働で収入を得る必要はありません。
ただし、FIREを達成するには一般のサラリーマンには少々厳しい金額を貯め込まなければなりません。大体6,000万円〜1億円程度の資産が必要です。
サイドFIREとは、生活費の半分を資産収入から得て、残り半分はちょっとした労働で賄います。資産収入が月10万〜15万円、働いて得る収入も月10万〜15万円くらいのイメージです。
という声が聞こえてきそうですね。
その通りです。サイドFIREとは、リタイアではなく「セミリタイア」です。正確には「早期セミリタイア」ですね。
働かなければならないと言っても、これまで通り週5日、最低でも1日8時間拘束される必要はありません。10万〜15万円稼ぐだけなら、週2〜4日程度で十分です。
空いた平日の昼間の時間を、
- 空いている美術館でゆっくり観賞
- 土日は行列ができるお店で、並ばずにランチ
- 1日中のんびりと読書にふける
- 前々やってみたかったこと(音楽やスポーツやアートなど)に挑戦
といった有意義な時間に使えます。
サイドFIREでも、サラリーマン時代とは比べ物にならないくらい開放的な日々を過ごすことができるのです。
わたしのサイドFIRE後のライフスタイルの変化については、「【FIRE後の生活】もし33歳サラリーマンがサイドFIRE(セミリタイア)したら…【あなたの生活も激変します】」で解説しています。
理由①:必要な資産額が少ない
もうコレに尽きます。サイドFIREの魅力は、なんと言ってもFIREの半分の資産額で達成できることです。つまり、それだけ早く「自分解放戦線」を終結させることができるのです!
具体的には、通常のFIREは生活費25年分の資産が必要なところ、サイドFIREは半分の12.5年でOKです。
正直なところ、他の理由は単なるこじつけで、全てはここに帰結します。この章だけ読んで、納得いただけたらページを閉じてOKです!(ウソです、他の理由もちゃんと見てね!)
我が家の場合は、生活費は月20万円を見込んでいて、フルFIREには6,000万円必要でした。わたしの家計状況だと38歳で到達する計算です。ですがサイドFIREなら半分の3,000万円でリタイアが可能です。
実際には資産3,500万円でフィニッシュし、5年早い33歳でサラリーマン人生に終止符を打つことができました。新卒で働き始めてちょうど10年経ったタイミングでのセミリタイアです。
試しに生活費が【15万円・20万円・25万円・30万円・40万円】の場合で、FIREとサイドFIREにかかる資産額をシミュレーションしてみましょう。
生活費 | FIRE | サイドFIRE |
月15万円 | 4,500万円 | 2,250万円 |
月20万円 | 6,000万円 | 3,000万円 |
月25万円 | 7,500万円 | 3,750万円 |
月30万円 | 9,000万円 | 4,500万円 |
月40万円 | 1億2,000万円 | 6,000万円 |
どうでしょう?
フルにFIREを達成はなかなか険しい道のりですが、サイドFIREなら手が届きそうに思いませんか?
理由②:サラリーマン時代の副業がそのまま使える
通常はサラリーマンの収入で十分生活できるので、副業の稼ぎは全額投資に回せます。月15万円稼げれば、年間プラス180万円も投資に回せるので超絶有利です。サラリーマン時代の副業は蓄財に強力なブーストになります。
わたしがサラリーマン時代にはじめた副業は「ブログ」でした。月15万円稼げるようになったのが、ブログを開始してから10ヶ月目のことでした。
そしてその副業は、サイドFIREでリタイアした後も、そのまま収入源として機能するのです!
サラリーマン時代は本業の片手間でやっていた副業です。しかも生活費の半分は資産が稼いでくれるので、あなたは勝手知ったる副業にちょっと時間を使えば良いだけです。
なおリタイア後は、副業収入の中から保険と年金を払わなければならないので、生活費の半分+数万円の稼ぎが必要です。(わたしの場合は15万円稼げばOKでした)
理由③:不況時に資産を取り崩さない選択ができる
FIREの根拠となる「4%ルール」によれば、FIREの成功率は95%です。逆にいえば、運悪く5%に入ってしまった人は、リタイア後に資産が尽きてしまいます。
5%の失敗が起こるのは、リタイア直後に大不況が来て、資産価値が暴落しまったときです。資産の価格が下がり続ける中で、さらに生活費を取り崩さなければならず、FIRE後に資産が尽きる可能性が高くなってしまいます。
ここでもし資産に手をつけなければ、いずれ不況は終わり、資産価値は元に戻り、さらに上昇に転じるでしょう。運悪くFIRE直後に資産価値が暴落した場合は、相場が戻るまでは資産を売却せず、別途で生活費を工面しなければなりません。
一つ例を出してみましょう。FIREしたAさんと、サイドFIREしたBさんを比較してみます。
Aさんは、副業は肌に合わないと諦め、本業の稼ぎだけでFIREを達成しました。そしてリタイア直後にリーマンショックレベルの危機が訪れてしまいます…!
一時的に資産価値は50%下落。ここで資産を取り崩せば、リタイア後にいずれ資産は底を尽きるでしょう。
しかしながら、副業に取り組まなかったAさんは、サラリーマンを辞めた瞬間に稼ぐ力が失われてしまいます。資産を取り崩すか、いやいやバイトでも始めることになるでしょう。
Bさんは、いち早くリタイアしたかったので、サラリーマン時代から副業を育てていました。副業で生活費の半分を稼げるようになり、FIREには足りないまでも、サイドFIREには十分な資産があります。
BさんはサイドFIREを選択しました。そしてリタイア直後に同じように株が大暴落!予定通りに資産を取り崩せば、リタイア後に資産が尽きてしまう恐れが…!
でもBさんの場合は、サラリーマン時代から副業を育てていたので、労働時間をいくらか増やせば生活費くらいは何とか稼げそうです。稼ぐ力は残っているので、そのスキルが生きる再就職先も容易に見つけられそうです。
理由④:結局のところ人は働かないことに耐えられない
わたしは会社をやめた後にしばらくダラダラ過ごしてみましたが、1週間で飽きました。「何か新しいことしなきゃ…!」と、心の内から来る衝動があるのです。
そこで私は悟りました。「人間とは本来、働くのが好きな生き物なのだ」と。
実のところ、わたしは会社での仕事がイヤでイヤで仕方なかったわけではありません。
イヤだったのは、無駄な会議や、内部の調整に使う時間や、人に指示されることだったのです。しょっちゅうチャットが来るのも、勝手に予定を入れられるのもイヤでした。
現在は副業の延長でブログを書きながら、別の仕事(もちろんフリーの)に挑戦しようとしています。きっと、フルFIREして一切働く必要がなかったとしても、何かしらビジネスを始めていたでしょう。
結局働くことになるなら、FIREまで待たず、さっさとサイドFIREした方が圧倒的に幸福度は高まります。サイドFIREをした後は、たくさんの金額を稼ぐ必要はないので、あなたの好きなことを仕事にできます。
理由⑤:FIREまで耐えられない
わたしは33歳、資産3,500万円でサイドFIREしました。ですが最初からサイドFIREを目指していたわけではありません。FIREまで耐えられずに、サイドFIREに逃げただけなのです。
わたしの場合、38歳までサラリーマンを続ければ、6,000万円貯めてフルにFIREできる計算だったのでした。これでも十分に魅力的な早期リタイアプランです。多くの人は、もう少しサラリーマンを続けて、安全にFIREした方が良かったのでは?と感じると思います。
わたし自身もそう思って38歳リタイアを計画していたのですが、すでに3,000万円以上の資産があり、副業で15万円稼げるようになっている状態です。
サラリーマンを辞めても生活に困ることはないとわかっていながら、サラリーマンを継続できるでしょうか?
無実の罪で牢に入ったあなたの前で、看守は大きないびきをかいています。すぐには起きそうにありません。牢の隙間から手を伸ばせば、牢の鍵に手が届きます。あなたが手を伸ばさない理由はないでしょう?
理由⑥:若い時間をこれ以上犠牲にすべきでない
前の章の通り、わたしは38歳で安全なFIREできるにも関わらず、33歳でサイドFIREに逃げました。「逃げた」というネガティブな表現をしましたが、実際には非常に前向きな撤退だったと思います。
サイドFIREを断行した33歳と、当初予定していたフルFIRE38歳の差は5年間。30代半ばといえば、人生で最も脂の乗った年代です。体はまだ衰える前(ちょっと衰えている気がしますが)で、仕事も遊びも全力で取り組めます。
それに1歳半になる娘もいます。38歳までリタイアを伸ばせば、娘は小学生になってしまいます!子供の成長を間近で見たい気持ちは、子を持つ親なら共感してもらえると思います。
この貴重な時間を、ちょっとした心の安定のために、5年間も無為にするのはとても我慢できるものではありませんでした。なんせすでに資産収入+副業収入で、生活に困ることはないのです。これ以上は石橋の叩きすぎだと思いませんか?
わたしの場合は30代でしたが、40代でも50代でも同じです。歳を取ればだんだん体は衰えて、新しいことに挑戦する気持ちもしぼんでしまいます。時間より価値あるものなんてないです。
理由⑦:最悪また働けば良いだけでしょ?
最終的にはこれですね。ヤバくなったらまた働けば良いだけなのです。ヤバい状態とは、不況で資産がガッツリ目減りしてしまったときや、副業が稼げなくなったときです。
と思う人も多いでしょう。実際のところ、エリートサラリーマンや公務員に戻るのは難しいでしょう。
ですが、高給取りになる必要はあるのでしょうか?すでにFIREを目指している人は、無駄な浪費は抑えられており、生活するのに多くの給料が必要ないことはわかっています。
給料の安い警備員でもいいじゃないですか。これからは少子高齢化で働き手が不足していく時代です。定年退職制も徐々に撤廃されています。選ばなければ再就職は可能ではないでしょうか?
【年単位で速くなる】サイドFIRE達成の4つの加速装置
というわけで、サイドFIREをオススメする7つの理由を解説させていただきました。ここからは、サイドFIREを達成する上でのキーアクションを紹介します。
まず、次のロジックツリーを見てください。リタイアまでの資産を貯めるのに、必要な要素を書き出しています。
- 本業の稼ぎ
- 副業の稼ぎ
- 支出
- 投資利回り
の4つの変数を最適化するのが、サイドFIRE達成への王道ルートとなります。なおフルのFIREであっても基本的には同じです。
①本業の稼ぎを増やす
サイドFIRE達成の資産を形成する上で、最も安定的に資金を投入できるのは本業の稼ぎです。つまり年収ですね。
自身のスキルを上げて年収をアップさせるのが筋ですが、即効性が高いのは転職です。
結局のところ勤め先の給料が高いか安いかは、「その業界は儲かるビジネスモデルなのか?」に寄ります。儲かる業界かどうかは、時代の流れにも大きく左右されます。
銀行員は高給取りの代名詞でしたが、「ゼロ金利」で本業の収益が下がり、ビジネスモデルが破綻しかけています。この先も高給取りでいられるかはわかりません。
今後しばらくはIT業界が儲かるというのが最も有力な見立てだと思います。あなたのスキルが不変でも、儲かっている業界に転職すれば年収+100万円も十分可能でしょう。
ちなみに転職活動は一切リスクがありません。年収が下がるなら転職しなければ良いだけだからです。
②副業で稼ぎ口を増やす
サラリーマン時代の副業は、サイドFIREを加速させるのに格別の手段になります。なぜなら、社会保険料が一切かからないからです!
社会保険料はサラリーマンとして支払われている「給与所得」にかかってきます。副業は、大抵の場合は個人事業主として活動することになり、その稼ぎは「事業所得」です。副業でどんなに稼いでも、すでにサラリーマンの給料から天引きされている社会保険料以上に搾り取られることはないのです。
加えて、個人事業主には「青色申告特別控除」による年間65万円の控除があります。「家事按分」により、家賃や光熱費も一定割合は経費算入が可能です。もちろん副業のための機材や、勉強に使った本も経費です。
結果的に、月額10〜15万円くらいの副業なら全額手取り収入にできるのです!
③支出を節約する
あなたの月収が100万円でも、生活費が100万円であれば、一生FIREできません。年収1,000万円あるのに貯金ができない人は、結局のところ生活費が高いだけなのです。
FIREは一定量の資産を蓄えなければならないため、「収入ー支出=入金力(投資に回す資金)」を最大化させる必要があります。
本業や副業で収入をが得るのは、人によって成果の大きさや、成果が出るまでの期間に差が出ます。しかしながら、節約はすぐに実行でき、再現率は100%です。いの一番に取り組むべきは節約です。
大きな影響があるのは「固定費」で、家賃や通信費、保険などです。その他、コンビニや外食のような割高な「浪費」はバッサリ削っていきましょう。
④投資で資産を増やす
FIREは、投資収入を生活費に充てることで、資産を減らさずにリタイアする手法です。投資はFIREの生命線であり、必須条件になります。
基本的には、リタイア時に投資を始めるのではなく、サラリーマン時代からコツコツを投資で資産を積み上げていきます。
FIREの前提となっているインデックス投資の期待リターンは年平均4〜7%。仮に7%のリターンであれば、10年前に1,000万円投資したら、今頃は倍の約2,000万円になっています。
FIREに特化した投資の始め方は、「【FIREへの投資戦略】相場を読めない僕らが0から始める投資術」で解説しています。
まとめ:サイドFIREでサッサとリタイアしよう!
今回はFIREの一種である「サイドFIRE」を紹介しました。
「サイドFIRE」とは、資産収入で生活費の半分を賄いつつ、もう半分を好きな労働で埋め合わせるスタイルのFIREです。
いわゆる「セミリタイア」ですね。サイドFIREしたあかつきには、フルタイムの仕事はもう必要ありません。
実際にわたしがこの「サイドFIRE」をオススメするのは、次の7つの理由からです。
サイドFIREがオススメな7つの理由
- 必要な資産がFIREの半分で済むため、より早くリタイアが可能
- サラリーマン時代に始めた副業が、そのままサイドFIRE後の収入源になるので、戦略上ムダがない
- サイドFIREは副業継続が前提。稼ぐ力が残っているので、不況時に資産を取り崩さずに働く選択肢を取れる
- 人間は本当は仕事をしたい生き物なので、どうせ仕事するならサイドFIREで十分
- FIREする過程で、サイドFIREできる状態が訪れる。そうなったらリタイアの誘惑に耐えられない
- 石橋を叩いて数年間縛られるよりも、若いうちの自由を大切にすべき
- 最悪、収入を気にしなければ再就職はできる
カンタンに言うならば、「副業でそこそこ稼げるなら、サイドFIREでいいでしょ?」って話でした。なるべく若い時間を謳歌できるように、ぜひサイドFIREを選択肢に入れてみてください!
なお、サイドFIRE(FIREも同様に)を達成するためのロードマップは、「【サイドFIRE経験者が語る】サラリーマンが0からFIREするための16ステップを解説」で詳しく説明しています。