チャートを読んで株や為替、暗号資産の価格を予想する手法を「テクニカル分析」と呼びます。
テクニカル分析の中でも、「ローソク足」と並んで基礎中のキソになるのが、「抵抗線(レジスタンスライン)」と「支持線(サポートライン)」です。
使い方はカンタン。チャート上に線を書き足して、そのラインを超えたら売買サインとします。数ある分析手法の中でも、特に見分けやすいと思います。
チャートはここの投資家の心理が具現化されたもの。多くの投資家が、「買いサインだ!ここからは値上がりするぞ!」と買い増せば、自己実現的に価格は上がります。
この構図があるので、テクニカル分析は、見方がカンタンで多くの投資家が見ている指標ほど信頼度が高いということになります。
そういう意味では、テクニカル分析の基本となる抵抗線と支持線は、特に信頼度が高いと考えられます(もちろん絶対はあり得ませんが)。
この記事では、抵抗線と支持線の引き方&見方を解説しつつ、これを応用した「トレンドライン」や「三角持ち合い」という似たような指標についても解説します。
チャート分析はまずはここから始めましょう!
抵抗線(レジスタンスライン)と支持線(サポートライン)の間のせめぎ合い
抵抗線(レジスタンスライン)は、「上値抵抗線」とも呼ばれます。直近の2つ以上の高値を結んだ線で表現されます。値上がりしても、不思議とこの線で押し返されることが多くなります。
支持線(サポートライン)は、「下値支持線」とも呼ばれます。反対に2つ以上の安値を結んだ線で表されます。値下がりしても、この線まできたら反発があり、それより下がらないことが多いです。
なぜこのような現象が起こるかというと、買い手と売り手が、この線の間でせめぎ合っているからです。上下の線が、投資家の心理的な壁になっているのです。
とある期間のチャートが次のようになっていたとします。抵抗線と支持線は一目瞭然なので、トレーダーならほぼ全員が見ているでしょう。
①の点はこのチャートでは「売り」のタイミングです。ここで売りそびれた投資家の心理は、「見過ごした!次にこの価格まで上がったら機を逃さず売るぞ!」となります。
そうすると、③の価格まで上昇したときに、売り圧力が強くなるので、価格は下落に転じます。このような心理が働くので、抵抗線を境に価格が上がりづらくなるのです。
逆に②の点は、「買い」のタイミングでした。ここで買いそびれた投資家は、「チャンスだったのに!次のこの価格まで下がったら絶対買うぞ!」となります。
結果として、④の価格まで下落したときに、買い圧力が強くなるので、価格は上昇に転じます。支持線を境に価格が下がりづらくなります。
このような一定の幅の間で価格が行き来する相場を、「レンジ相場」「保ち合い相場」「ボックス相場」などと呼ばれます。どれも同じ意味です。
上方向にも下方向にもトレンドがない相場は、見極めが難しいので、無理してエントリーする必要はありません。どちらかの線をブレイクするのを待ちましょう。
【持ち合いは放れた方につけ】ブレイクしたら売買サイン
「持ち合いは放れた方につけ」は、投資界隈に古くからある格言です。抵抗線か支持線のどちらかにブレイクしたら、その方向にトレンドが発生するぞ、という意味です。
というわけで、
- 抵抗線を上抜けた!
→上昇トレンド発生で「買いサイン」
- 支持線を下抜けた…
→下落トレンドの発生で「売りサイン」
と読み取れます。
どちらかにブレイクしたときは、それまで拮抗していた「買い手のパワー」と「売り手のパワー」のバランスが崩れたことになります。
それまで相場に張っていた投資家以外に、大きな新勢力が入ってきたかのかもしれません。または好材料(または悪材料)になるニュースで、市場参加者のスタンスが変わったのかもしれません。
いずれにしても、潮目が変わったタイミングです。ブレイクした方向に順張りするのが吉となります。
ブレイクしたら抵抗線と支持線が入れ替わる
一度、抵抗線または支持線をブレイクすると、新しい価格圏が形成されます。
上値抵抗線をブレイクした後は、一段と高い価格圏に移行します。そうなったとき、それまでの上値抵抗線は、下値抵抗線に変わります。
それまで売り手だった人は、思ったよりも値上がりしてしまったので機会損失ですよね。値上がりしていくのを指を咥えて待つか、機会損失を受け入れて買い戻すかを選択します。
ところが何かの拍子で、新しい価格圏で以前の上値抵抗線まで値下がりしたとしましょう。ここで買い戻せば、ある意味で機会損失は無かったことになります。
前回の価格圏の上値抵抗線あたりで、かつての売り手の買い注文が集中します。というわけで、一度ブレイクされた抵抗線は、以降は支持線に変わるのです。
逆も然りで、下値支持線をブレイクした後は、一段と低い価格圏が形成されます。その後はかつての支持線は抵抗線に変わります。
かつての買い手は、予想外に値下がりしてしまい、売り時を逃してしまいました。値下がりを横目に見つつ含み損を膨らませるか、損切りするかを選びます。
ここで前回の下値支持線まで回復してくれれば、±0で売り抜けられます。というわけで、度ブレイクされた支持線は、以降は抵抗線に変わります。
移動平均線
「移動平均線(Moving Average)」とは、一定期間の株価や為替の平均値を、折れ線グラフで表したものです。こちらも代表的なテクニカル分析の一つです。
一般的には、一定期間の終値をつなぎ合わせます。5日移動平均線だったら、直近5日間の終値の平均をプロットしていきます。
移動平均線も抵抗線・支持線になる
移動平均線は擬似的に、「抵抗線」「支持線」になります。
チャートが移動平均線の下にいれば「抵抗線」に、チャートが移動平均線の上にいれば「支持線」になるわけです。
それぞれを突き抜けたタイミングが、売り買いのタイミングになります。
移動平均線も基本になるテクニカル分析です。こちらも多くの投資家がウォッチしている指標です。詳細は移動平均線の解説記事をチェックしてみてください。
トレンドライン
同じようにチャート上に線を引くテクニカル分析に、「トレンドライン」があります。
- 上昇トレンドの場合:安値を結んだ線
- 下落トレンドの場合:高値を結んだ線
がトレンドラインとなります。
トレンドラインも抵抗線・支持線として機能する
上昇トレンドでトレンドライン(安値を結んだ線)を下抜ければ、下落トレンドへの変調になります。ここは「売りシグナル」です。
下落トレンドでトレンドライン(高値を結んだ線)を上抜ければ、上昇トレンドが期待できます。つまり「買いシグナル」です。
三角保ち合い
株価が上下に動く幅が、どんどん狭くなっていく相場を「三角保ち合い」と呼びます。
三角の範囲で価格圏が形成されているので、2辺のどちらかに抜ければ、その方向に新しいトレンドが発生したと考えられます。
三角保ち合いは、その形状で3つのパターンがあります。
均衡している三角保ち合い
二等辺三角形のように、上下の辺が同じ傾きになっているときは、買い手パワーと売り手パワーが拮抗している状態です。
どちらに抜けるのか予測しづらい相場ですが、前回のトレンドを踏襲する傾向があります。
上昇トレンドから三角持ち合いが発生したら、次も上昇トレンドに抜ける可能性が高くなります。逆も然り。
強気の三角保ち合い
高値は変わらないけど、安値はどんどん切り上げていっているパターンもあります。
買い手のパワーが徐々に強くなっていて、より高い価格でも買いたい人が増えている状態です。上昇トレンドに抜ける可能性が高い形です。
弱気の三角保ち合い
反対に、安値は変わらないけど、高値はどんどん切り下げていくパターンもあります。
売り手のパワーが強く、より安い価格でも売りたい人が増えています。下落トレンドに転じる可能性が高くなります。
他にも色々あるテクニカル分析
抵抗線(レジスタンスライン)、支持線(サポートライン)の他にも、広く使われるテクニカル分析があります。
一つは「ローソク足」です。
1本のローソクで、一定期間(例えば1日)の始値・終値・高値・安値を表現します。こちらも投資家心理の示唆に富んでいて、多くの投資家が見ている指標です。
ローソク足の解説記事も参考にしてみてください。
「ローソク足」と同じくらい広く使われているのが「移動平均線」です。上の方で紹介しているので、中身は割愛します。
「抵抗線・支持線」「ローソク足」「移動平均線」の3種類だけでトレードをしている人もたくさんいます。移動平均線の解説記事もチェックしてみてください。
他にも「MACD」や「ボリンジャーバンド」「RSI」あたりはよく使われる指標です。テクニカル分析指標の一覧記事も参考にしてみてください。