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大型株・中型株・小型株の違いとは?日本株と外国株の定義の違いも解説します

「大型株・中型株・小型株」って言葉はよく耳にしますが、その違いを意識している人は少ないのではないでしょうか?

Appleやトヨタは「大型株」で、上場したての新興企業は「小型株」くらいのイメージですよね。

サラリーマン
サラリーマン
確かにあまり意識したことなかったな

わたし自身もよくわかっていなかったので、調べてみました。日本株と外国株では定義が違っていたので、この辺りも解説していこうと思います。

なお
なお
外国株の方は日本語で解説しているサイトがなかったので、少々苦労しました…。

インデックス投資をするときは、商品によっては大型株と中型株だけで、小型株は含まなかったりと違いが出てくるので、押さえておいて損はない情報かなと思います。

日本株における【大型株・中型株・小型株】の定義

まずは日本株における【大型株・中型株・小型株】の定義を見ていきましょう。

一般的には、東証一部に上場している銘柄から、次のように分類しています。

  • 大型株:東証一部企業の時価総額上位100社(TOPIX100の算出対象)
  • 中型株:その次に時価総額の大きい400社(TOPIX Mid400の算出対象)
  • 小型株:東証一部上場で、大型・中型にも含まれない会社
参考)大型株の上位10社(すなわち日本の時価総額TOP10)
順位 銘柄
1位 トヨタ自動車
2位 キーエンス
3位 ソニーグループ
4位 ソフトバンクグループ
5位 日本電信電話(NTT)
6位 リクルートホールディングス
7位 任天堂
8位 ファーストリテイリング
9位 三菱UFJフィナンシャル・グループ
10位 KDDI

なお、株式の世界では【大型・中型・小型】と分類されますが、東証一部に上場するような企業は、日本人の一般的な感覚ではほとんどが大企業です。

サラリーマン
サラリーマン
東証一部の他にも市場ってあるよね?

一般投資家が投資できる日本の証券取引所は、

  • 東証一部
  • 東証二部
  • 東証マザーズ
  • 東証JASDAQ(ジャスダック)

の4種類です。

一部・二部・マザーズの3市場に上場している企業の規模は、【東証一部>東証二部>東証マザーズ】の関係にあります。企業が成長すると、出世魚のように上位の市場に移っていきます。

JASDAQは、東証マザーズと同じような位置付けで、新興企業が多い市場です。ただし独立しているので、成長してもJASDAQに残り続ける企業もあります。(東証に移る企業もあります)

東証一部ですら、上位500社に入れなければ「小型株」扱いです。そのため、東証一部以外の銘柄は全て小型株となります。(JASDAQには、不相応に大きい企業が紛れている場合がありますが)

なお
なお
大中小の各サイズにおける特徴は、後ほど解説します。いったんは日本における一般的な定義だけ押さえておきましょう♪

外国株における【大型株・中型株・小型株】の定義

人気の外国株にも、【大型株・中型株・小型株】の定義があります。

外国株では次の4段階で株式のサイズを分類しています。

  • Large Cap:大型株
  • Mid Cap:中型株
  • Small Cap:小型株
  • Micro Cap:超小型株
なお
なお
ちなみに”Cap”は、”Capital”の略です

ここでは、株価指数の算出を行なっている、

  • モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(略称:MSCI
  • FTSEインターナショナル(略称:FTSE
  • シカゴ大学証券価格研究センター (略称:CRSP

の3社の定義を見ていきましょう。

外国株のインデックス投資は、大抵この3社のどれかが算出している指数を使っています。

MSCI社の定義

まずは「MSCI社」の定義を見ていきましょう。同社の指数は大人気投資信託の「eMAXIS Slimシリーズ」でよく採用されています。

サイズ分類 定義 備考
Large Cap(大型株) 全体の時価総額の上位70%まで ±5%の誤差あり
Mid Cap(中型株) 大型株の下で、上位85%まで ±5%の誤差あり
Small Cap(小型株) 中型株の下で、上位99%まで +1% or ‐0.5%の誤差あり
Micro Cap(超小型株) 上記以外
詳細な定義

To define the Size‐Segment Indices for a market, the following free float‐adjusted market capitalization Market Coverage Target Ranges are applied to the Market Investable Equity Universe:

  • Large Cap Index:70% ± 5%
  • Standard Index:85% ± 5%
  • Investable Market Index:99%+1% or ‐0.5%

The Mid Cap Index market coverage in each market is derived as the difference between the market coverage of the Standard Index and the Large Cap Index in that market.

The Small Cap Index market coverage in each market is derived as the difference between the free float‐ adjusted market coverage of the Investable Market Index and the Standard Index in that market.

出典:MSCI Global Investable Market Indices Methodology

重要なポイントとして、同社は大型〜中型株までを標準の範囲としています。

「eMAXIS Slimシリーズ」を始めとする同社の指数を採用している商品には、小型株は含まれず、時価総額の85%までをカバーしていることになります。

MSCI社の指数を採用している主な商品

代表的な指数 指数の対象 指数を使った投資信託・ETF
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス 先進国&新興国の【大・中】型株 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
たわらノーロード 全世界株式
MSCIコクサイ・インデックス 日本を除く先進国の【大・中】型株 eMAXIS Slim先進国株式インデックス
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
たわらノーロード 先進国株式
MSCIエマージング・マーケッツ・インデックス 新興国の【大・中】型株 eMAXIS Slim新興国株式インデックス
<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンド
サラリーマン
サラリーマン
ホントだ!小型株以下は入らない仕様なんだね!

FTSE社の定義

続いて「FTSE社」の定義を見ていきましょう。前述のMSCI社と対をなす存在で、バンガード社の全世界株式ETF「VT」や、SBIや楽天の投資信託で採用されています。

サイズ分類 定義 備考
Large Cap(大型株) 全体の時価総額の上位70%まで 母数は、当該市場の上位98%
Mid Cap(中型株) 大型株の下で、上位90%まで
Small Cap(小型株) 中型株の下、それ以外全て
Micro Cap(超小型株) 上記以外(つまり下位2%
詳細な定義

How does FTSE define large, mid, small and micro cap companies?

Broadly speaking, FTSE’s approach is to calculate the total market capitalization of a universe of eligible constituents and then to apply % bands to split constituents into large, mid and small cap (some index series also include a micro cap segment).

In simple terms for GEIS, at the regional review the top 98% of the index universe is selected. This universe is then categorised with the top 70% of the eligible universe of companies being classified as Large Cap, the next 20% as Mid Cap and the final 10% as Small Cap. Buffers exist between the bandings to ensure that turnover is minimised.

出典:FTSE社のFAQより

わかりやすい表があったので、載せておきます。(参考リンク

出典:research.ftserussell.comより引用

FTSE社の指数を使っている商品の多くは、【大型・中型・小型】までを含む「All Cap」というスケールを採用しています。時価総額全体の98%までカバーできることになります。

FTSE社の指数を採用している主な商品

代表的な指数 指数の対象 指数を使った投資信託・ETF
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス 先進国&新興国の【大・中・小】型株 バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF (VT)
SBI・全世界株式インデックス・ファンド
楽天・全世界株式インデックス・ファンド
FTSEディベロップド・オールキャップ・インデックス 先進国の【大・中・小】型株 SBI・先進国株式インデックス・ファンド
FTSEエマージング・オールキャップ・インデックス 新興国の【大・中・小】型株 バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)
SBI・新興国株式インデックス・ファンド
楽天・新興国株式インデックス・ファンド
サラリーマン
サラリーマン
こっちは小型株まで入っていて、時価総額の98%まで含んでいるってことだね

CRSPの定義

最後に紹介するのが、「CRSP」です。CRSPは、”The Center for Research in Security Prices”の略で、邦訳すると「シカゴ大学証券価格研究センター」。

CRSPの指数が用いられるのは、「全米株式」代表的な「バンガード トータル ストック マーケットETF(VTI)」は、日本でも現地米国でも非常に人気のある商品です。

米国で代表的な指数は、米国の上位500社で構成される「S&P500」。ですが、もっと広く全ての米国上場企業に投資したいときは、CRSP社の指数に連動した商品を選びます。

サイズ分類 定義
Large Cap Mega Cap(大型株) 全体の時価総額の上位70%まで
Mid Cap(中型株) 大型株の下で、上位85%まで
Small Cap(小型株) 中型株の下で、上位98%まで
Micro Cap(超小型株) 上記以外

出典:CRSPサイトより

CRSPの全米株価指数「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」は、【大・中・小+超小型株】まで含んでおり、全米株式のほぼ100%を網羅しています。

CRSPの指数を採用している主な商品

代表的な指数 指数の対象 指数を使った投資信託・ETF
CRSP USトータル・マーケット・インデックス 全米の【大・中・小・超小】型株 バンガード トータル ストック マーケットETF(VTI)
SBI・V・全米株式インデックス・ファンド
楽天・全米株式インデックス・ファンド
サラリーマン
サラリーマン
「全米株式」の文字通り、アメリカを丸ごと買える!

大型株・中小型株のメリット・デメリット

というわけで、長々と【大型株・中型株・小型株】の違いを解説しました。外国株の方は少しマニアックな内容でしたね。

さて、株式のサイズの分類を知ったところで、どのように活かしていけば良いのでしょうか?

サラリーマン
サラリーマン
そうそう、そこが肝心よ

大きく「大型株」と「中小型株」の2つに分類して、それぞれの特徴を考えてみました。青字はメリット赤字はデメリットになります。

大型株 中小型株
情報取得のしやすさ 基本的にしやすい しにくい企業もある
配当金 多い 少ない
成長ポテンシャル 頭打ちになっている企業が多い。伸びても爆発的には伸びない 爆発的に伸びる原石があるかもしれない(見つけるのは難しい)
流動性 高い(売りたいときに売りやすい) 低い(売りたいときに売りにくい)
外部環境の影響 受けやすい 受けにくい
リスク・リターン ローリスク・ローリターン ハイリスク・ハイリターン

それぞれザッと中身を見ていきましょう。

情報取得がしやすいのは「大型株」

一応上場企業は、一定の情報会議義務があるので、未公開企業に比べれば情報は取得しやすくなっています。ただやはり、大型株の超大企業の方が、情報入手はしやすい傾向があります。

大型株の方が、必然的に売買に参加している市場参加者が多いため、それだけ多くの情報が転がっています。証券会社のアナリストレポートも、大型株を対象にしたものが多いです。

配当金が多いのは「大型株」

配当に関しても大型株の方が高めの傾向があります。

大型株の多くは、すでにビジネスモデルが完成している伝統的な大企業です。安定している事業から得られた利益を、配当の形で株主に還元します。

中小型株の中でも新興企業は、まだ事業に成長余地があるので、利益を計上せずに事業に再投資する傾向があります。そのため配当は少なめの傾向です。

成長ポテンシャルは「中小型株」に軍配

事業の成長ポテンシャル、中小型株の方が大きいです。これは株価上昇のポテンシャルが高いことを意味します。

売上10兆円の大企業が10%成長するには、1兆円の市場を獲得する必要があります。一方で、売上100億円の中堅企業なら、10億円の市場を手にするだけで達成可能です。

基本的には、「キャピタルゲイン(株価の値上がり益)>インカムゲイン(配当)」になるので、トータルリターンでも中小型株が優位です。

「大型株」になるほど流動性が高い

時価総額が高いということは、売買に参加する市場参加者が多いということ。必然的に大型株は売りたいと思ったときに、買い手が見つかりやすいメリットがあります。

小型株は、自分の希望通り通りに売買できない可能性があります。例えば、悪いニュースで売りたいと思っても買い手が見つからず、かなり安値で売らざるを得ないことがあります。

ただし個別銘柄ではなく、純資産総額が大きいETFを使えば、小型株でも流動性の問題はクリアできます。

「中小型株」の方が外部影響を受けにくい

大型株は、外国人投資家に買われるケースも多くあります。株価指数や為替、コモディティ価格、各種経済ニュースなどの外部要因によって、株価が影響を受けやすい傾向があります。

中小型株は相対的に外部影響を受けづらいですが、株価は株式市場全体で連動して動くことがままあるので、全く受けないわけではありません。

ちなみに景気先行きに不安がある場合は、ただでさえ事業が傾きやすい上に、流動性が低く売り抜けづらい小型株は、先行して売られます。小型株の方が不況の煽りは受けやすくなります。

大型株・中型株・小型株のパフォーマンスを比較

それでは、実際に【大型株・中型株・小型株】の違いによって、パフォーマンスにどれほど違いが出るのか確認してみましょう。

次の米国ETFで比較してみます。

サイズ ETF銘柄 ETFの構成銘柄
大型株 SPY S&P500の500社(米国時価総額の上位約80%まで)
中型株 VO 米国の中型株(米国時価総額の上位71〜85%)
小型株 VB 米国の小型株(米国時価総額の上位86〜98%)

なお大型株のS&P500には、大型株だけでなく中型株も含まれます。純粋に大型株に絞った誂え向きな銘柄がなかったので、近似値になるS&P500で代替しています。

まずはトータルリターンを見ていきましょう。トータルリターンは、株式の値上がり益にプラスして、配当を再投資した場合に、どれだけ資産が増えたかを表します。

SPY(大型) VO(中型) VB(小型)
年平均成長率 10.37% 10.73% 10.27%
標準偏差 14.53% 17.12% 19.14%
最も伸びた年 32.31% 40.44% 37.70%
最も落ち込んだ年 -36.81% -41.56% -36.19%
最大下落幅 -50.80% -54.01% -53.72%
シャープレシオ 0.67 0.61 0.55

*青字は三者の中でパフォーマンスが最も良い。赤字はパフォーマンスが最も悪い。

小型株の方がリターンが大きいのかなと想像していましたが、この期間では中型株のリターンが1番でした。ただしリターンは思ったより大きな違いがない印象です。

ただしリスクを意味する「標準偏差」は、想像どおり、【大型株<中型株<小型株】でした。標準偏差はデータのバラつきの大きさを表す統計用語。投資においては数値が大きいほど価格変動が激しいという意味になります。

年ごとの成長率も見てみましょう。

やはり大型株はマイナスを食らいづらいようですね。

全体を通してみると、大型株ほどローリスクであることは間違いなさそうです。ただ中型株と小型株の関係は、必ずしも理論値通りのリスク・リターンにはならないようです。

なお
なお
大型株と中小型株で分けて考えるのが妥当そうですね

まとめ

今回は、株式の世界の【大型株・中型株・小型株】の定義を紹介しました。

おさらいしてみましょう。

日本株におけるサイズの定義

  • 東証一部企業の上位100社(TOPIX100の算出対象):大型株
  • その次に大きい400社(TOPIX Mid400の算出対象):中型株
  • 東証一部上場で、大型・中型にも含まれない他全て:小型株

外国株投資におけるサイズの定義

  • 全体の時価総額の上位70%まで:大型株
  • 大型株の下で、上位85%まで:中型株
  • 中型株の下で、上位98%まで:小型株
  • それ以外の2%:超小型株

*指数によって定義は異なります。

知らなかったからと言って、どうということはありませんが、知識として知っておいて無駄ではないかなと思います。

インデックス投資をであっても、その指数が「大型・中型までなのか、小型まで含むのか、あるいは超小型まで含むのか」まで意識できると、一皮向けた感じがしますね。

ちなみに株式を分類する方法は、サイズ以外にもあります。セクターで分類する方法と、バリュー株orグロース株で分ける方法です。

それぞれ解説記事があるので、興味があればこちらもどうぞ。

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