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【手堅く高配当】米国優先株ETF「PFF」「PFFD」で5%利回りをゲットしよう!

高配当系ETFの中には、株式やら債券やら色々混ざったものなど、さまざまな商品があります。そんな中で一ジャンルを築いているのが「優先株」のETF

だいたい5%程度の配当利回りが期待できる、高配当銘柄となっています。

サラリーマン
サラリーマン
優先株?聞いたことないけど、利回りは高いみたいだね
なお
なお
優先株は、米国では割と普通に発行されています!

優先株とは、議決権がない代わりに、優先的に配当を受けられる特殊な株式です。日本ではあまり馴染みがありませんが、海外では珍しいものではありません。

そんな優先株に投資できる代表的なETFが「PFFです。ETF全体の純資産総額でも割と上位にいる人気ETFとなっています。

この記事では、

  • 優先株とは何か?
  • PFFのパフォーマンス(配当&株価)
  • PFFのリスクはどこにあるか?
  • PFFよりも高いパフォーマンスが狙える優先株ETF

を解説しています。

インカム狙いの投資をしている人には、耳寄りな情報かもしれません。ぜひ参考にしてみてください。

本記事の内容は、筆者個人の見解に基づいています。投資リターンを保証するものではありませんので、その点はご了承いただければ幸いです。また内容は執筆時点の情報に基づいています。最新の情報は各種公式サイト等をご確認ください。

優先株ETF「PFF」基本情報

こちらが「PFF」の基本情報となります。運用会社は世界最大手のブラックロック社なので、ここは安心材料となっています。

運用会社 ブラックロック
商品名 iシェアーズ 優先株式 & インカム証券 ETF
ティッカー PFF
ベンチマーク ICE 上場優先株式 & ハイブリッド証券 インデックス
投資対象 米ドル建ての優先株及びハイブリッド証券約500銘柄
配当利回り 5%前後
経費率 0.46%
分配月 毎月
純資産総額 約200億ドル
設定日 2007/3/26

*PFF参考サイト:ブラックロックHP

配当は概ね5%前後で、高配当ETFに期待する配当利回りとしては十分なスペックでしょう。配当は毎月もらえます。

特徴はなんといっても「優先株」を集めたETFであるということ。以前はなかなかアクセスしづらかった優先株に丸っと投資できる貴重な機会となっています。

設定後から幾らか年月が経過しており、リーマンショックやコロナショックを経験しているので、暴落相場での挙動も確認ができている銘柄です。

純資産総額はなかなか大きく、インカム系のETFではかなり上位に位置します。流動性の観点は問題なさそうです。

優先株の仕組みと特徴

優先株は日本にも存在しますが、海外ほど盛んではありません。そのため聞いたことがないという人もいるでしょう。

なお
なお
日本では伊藤園の優先株が有名。全般的には金融機関が発行することが多いです

優先株の仕組みを知っておくことは、そのリスクを理解する上でも重要。「PFF」などの優先株系ETFに投資をする場合は、ぜひその性質も押さえておきましょう。

優先株の仕組み

「優先株」とは、議決権が制限された株式です。基本的には議決権がないと思って差し支えないでしょう。一方で、一般的な議決権のある株式は「普通株」と呼ばれます。

そのような制約を受ける代わりに、配当や会社清算時の財産を優先的に受け取れます。普通株より優先的に配当を受け取れるから「優先株」という名前がついているわけですね。

企業側からすれば、経営権を外に漏らさず、株主比率を買えずに資金調達できるメリットがあります。個人投資家レベルであれば、経営権を欲しいとは思わないので、デメリットにはならないでしょう。

サラリーマン
サラリーマン
議決権?経営権?ナニソレ?オイシイノ?
なお
なお
そもそもETFの場合は、議決権なんて関係ないですしね

優先株の特徴

諸々の優先順位は上記のようになっていて、普通株の一つ上が「優先株」です。普通株と普通債券の中間をまとめて「ハイブリッド証券」と呼びます

基本的には、

  • 債券に近いほど「ローリスク・ローリターン」
  • 株式に近いほど「ハイリスク・ハイリターン」

になります。債券に近いほど値動きが緩やかになりますね。

「PFF」は、優先株及びハイブリッド証券が対象のETFです。PFFは、「メインは優先株だけど、他のハイブリット証券が入る場合もあるよ」という商品なのです。

そのため「PFF」は、株式と債券の間に位置するミドルリスク・ミドルリターンな商品と言えるでしょう。実際には債券寄りの性質で、平時の値動きはほとんどありません

ただし発行元に金融系が多いことから、金融危機には脆く、株式と同じように暴落してしまうリスクがあります。

なお
なお
そのようなリスクがあるため、「株式と組み合わせて暴落時のクッションにする」という典型的な債券の使い方には向きません

セクター比率

セクター 比率
金融機関 60.00%
資本財・サービス 22.98%
公益事業 14.81%
キャッシュ、デリバティブ等 1.33%
政府機関 0.30%

「PFF」は優先株の特色で、金融セクターの比率が高めです。

普通株に投資するときは、好況期に伸びるセクターや、不況に強いセクターがあるので、セクター比率を気にする必要があります。(詳細は、米国株の全セクター&セクターローテーションの解説記事をチェックしてみてください)

優先株は債券に近い存在で、値動きがほとんどないので、セクター比率を気にする必要はないでしょう。

なお
なお
ただし金融系が多いので、金融危機の際は脆さを見せます。この点は認識しておきましょう

構成国&構成銘柄

構成国 比率
米国 91.93%
カナダ 1.76%
ジャージー諸島 1.40%
キャッシュ、デリバティブ等 1.33%
バミューダ 1.22%
ルクセンブルグ 1.20%
その他 0.59%

「PFF」の投資対象は、「米ドル建の優先株&ハイブリット証券」なので、米国以外も含まれます。ただし実際には米国以外の割合は微々たるものに過ぎません。

「PFF」は約500銘柄で構成されており、よく分散が効いています。上位10銘柄は次の通りです。

順位 銘柄 セクター
1位 BROADCOM INC 資本財・サービス
2位 WELLS FARGO & COMPANY SERIES 金融機関
3位 BANK OF AMERICA CORP 金融機関
4位 DANAHER CORPORATION 資本財・サービス
5位 ARCELORMITTAL 資本財・サービス
6位 CITIGROUP CAPITAL XIII 金融機関
7位 NEXTERA ENERGY INC 公益事業
8位 BLK CSH FND TREASURY SL AGENCY キャッシュ、デリバティブ等
9位 DANAHER CORPORATION 資本財・サービス
10位 AVANTOR INC 資本財・サービス
サラリーマン
サラリーマン
シティグループは知ってる!バンク・オブ・アメリカも聞いたことある。それ以外は知らないかなぁ
なお
なお
上位はどれも結構大きな企業ですね

配当実績

配当(米ドル) 期末株価(米ドル) 配当利回り
2011 2.487 35.62 6.41%
2012 2.383 39.62 6.69%
2013 2.432 36.83 6.14%
2014 2.491 39.44 6.76%
2015 2.239 38.85 5.68%
2016 2.178 37.21 5.61%
2017 2.13 38.07 5.72%
2018 2.162 34.23 5.68%
2019 1.998 37.44 5.84%
2020 1.846 38.51 4.93%

配当は徐々に減少傾向にあります。

ただ安定して5%前後と高い配当を出し続けているので、この点は評価できますね。

チャート

2007年の設定直後にリーマンショックの暴落という趨勢を辿っています。リーマンショック時は最大70%ほどの暴落し、回復してからはほぼ横ばいの推移となっています。

設定以来のチャートをS&P500と比較するとこんな感じになります。まぁそりゃそうだよねって感じです。

PFFとS&P500の比較(設定以来)

リーマンショック頃を抜き出してみると、S&P500よりも下落幅大きかったことがわかります。この辺りは金融危機への脆弱さが見て取れます。

PFFとS&P500の比較(リーマンショック頃)
高値 安値 下落率
50.34ドル(2008/7/31) 15.05ドル(2009/3/6) -70.1%

コロナショックの時は、こんな感じです。PFFの方が立ち直りは早いですね。

PFFとS&P500の比較(コロナショック頃)
高値 安値 下落率
38.29ドル(2020/2/11) 25.12ドル(2020/3/18) -34.4%
なお
なお
金融危機には弱いですが、コロナのような金融危機ではない暴落局面では、通常の株式よりもダメージは小さいかもしれません

トータルリターン

「PFF」のトータルリターンを、S&P500に連動するETF「IVV」と比較していました。トータルリターンとは、値上がり益と配当の両方を含んだ総合リターンのこと。

流石にIVVの方が高いトータルリターンになっていますが、PFFもかなり健闘しています。

なお
なお
株価横ばいで、配当利回り5%を考えると、年平均6%の成長はほぼ期待値通りではないでしょうか

 優先株ETF「PFF」のメリット/デメリット

ざっと「PFF」がどんなETFかわかったところで、この商品のメリットとデメリットを考えてみましょう。

「PFF」のメリット

安定して5%前後の高配当を狙える

過去に株式市場の暴落を2度経験していますが、安定して5%前後の高い配当が出ています。2007年の設定からある程度の歴史があるので、一定の信頼は置けるように思います。

低金利の煽りか、配当が5%を割るようになってきましたが、それでも高配当であることには変わりありません。現金が必要な人には有力な選択肢でしょう。

現金が必要な理由は人によって異なりますが、FIRE(早期リタイア)に現金はありがたい存在です。

FIREでリタイア直後に、株式暴落の憂き目にあってしまった場合は、相場が元に戻るまでは資産を取り崩さずに、現金でやり過ごす必要が出てきます。この間を耐え抜く手段として、高配当は有効な手立てです。

FIREと高配当銘柄の相性については、「【ちょっと待った!】FIREに高配当株は最適なのか?リターンを最大化する高配当株との付き合い方」で詳しく解説しています。

値動きが小さい

値動きが小さいので、日頃の値動きに一喜一憂せず、枕を高くして寝られるのは、一つのメリットと言えるでしょう。ただリスクが低い反面、株価の上昇も見込めないというデメリットにもなります。

理想は、金融危機などで株価が下がったときにガバッと買って、あとは半永久的にマネーマシーンとしてお金を産み続けることでしょうか。

「PFF」のデメリット

トータルリターンは普通株に負ける

優先株は債券に近い性質があり、普通株のような値上がり益は期待できません

基本的には、

株価の値上がり(キャピタルゲイン)> 配当(インカムゲイン)

の関係にあるので、「S&P500」や「全米株式」などの配当の低いインデックス投資に、トータルリターンでは負けてしまいます

なお
なお
資産形成を目的とした投資には、優先株は向かないかも。現金が必要な人以外には無用と思われます

なお現金が必要な場合も、配当と株価値上がりの両方が期待できる【VYM・HDV・SPYD】の方が、魅力的な選択肢かもしれません。これらは米国の普通株を対象とした高配当ETFです。

VYM・HDV・SPYDの詳しい内容は「【大解剖】高配当ETF「VYM・HDV・SPYD」を徹底比較!」で解説しています。

【大解剖】高配当ETF「VYM・HDV・SPYD」を徹底比較!【配当も値上がりも狙える優等生】高配当ETFでもっとも人気が高いのが「VYM」「HDV」「SPYD」です。いずれも米国の高配当企業に投資できるETFで、超大手が展開して...

経費率が高い

経費率0.46%はちょっと高いですね。100万円投資していたら年間4,600円は徴収されてしまいます。1,000万円なら4.6万円なので、無視できる金額ではないですね。

代表的な高配当ETFである【SPYD・HDV・VYM】は、株価の上昇も期待ができて、経費率は10分の1程度です。

債券の代わりにはならない

あえて高リターンの株式ではない別の資産をポートフォリオに入れるのは、リスクをなだらかにしたいからですね。

その代表格が債券です。国債などの低リスクな債券は、株価が暴落したときにも資産価格を維持してくれるケースが多く、暴落時に資産を守る保険として機能します。

優先株は債券に似た性質があり、株式より値動きはずっとなだらかです。ただし金融危機での暴落には弱く、保険の役割は果たしてくれそうにありません

債券よりも高配当をゲットしつつ、債券と同じようなリスクヘッジを狙うことはできません。

サラリーマン
サラリーマン
株と債券のいいとこ取りにはならなかったか…
なお
なお
二足のわらじは履けないってことですね

これらのメリデメは、「ハイイールド債」とよく似ていると思います。ハイイールド債は別名「ジャンク債」とも呼ばれ、格付けが低く配当が高い債券を指します。

値動きや配当水準も、概ね似たような感じです。

ハイイールド債ETFの詳細は、「【ジャンク債は怖い?】ハイイールド債ETF「HYG」「JNK」を解説【高配当狙えます!】」で解説しています。

【ジャンク債は怖い?】ハイイールド債ETF「HYG」「JNK」を解説【高配当狙えます!】高配当系ETFの中の一ジャンルに「ハイイールド債」があります。ハイイールド債は別名「ジャンク債」。格付けが低くリスクを伴う代わりに、債券...

【PFFDもアリ!】その他の優先株ETF

代表的な優先株ETFは「PFF」ですが、他にもいくつか銘柄があります。PFFに近いものは次の2つです。

運用会社 インベスコ グローバルX
商品名 インベスコ プリファード ETF グローバルX 米国優先証券 ETF
ティッカー PGX PFFD
ベンチマーク ICE BofAML Core Plus Fixed Rate Preferred Securities Index ICE BofAML・ダイバーシファイド・コア・米国優先証券・インデックス
投資対象 米ドル建ての優先株約300銘柄 米国の優先株約290銘柄
配当利回り 5%前後 5%前後
経費率 0.52% 0.23%
分配月 毎月 毎月
純資産総額 約70億ドル 約20億ドル
設定日 2008/1/31 2017/9/17

*PGX参考サイト:インベスコHP
*PFFD参考サイト:グローバルXHP

「PGX」の方は、どうやら日本の大手ネット証券では扱っていないようなので、スルーですね。

「PFFD」の方は、ちゃんと日本でも購入できますこちらはPFFと同じような商品ながらも、経費率は半分で済みますその分高いパフォーマンスが期待できます。

設定から日が浅いのが少し気になりますが、中身はPFFと大きく変わらないようなので、そこまで心配する必要はないように感じます。優先株自体は怪しいものでもなんでもないですしね。

純資産総額はPFFの10分の1くらいなので、流動性の観点では劣りますが、このくらいなら問題にはならないと思います。

なお
なお
わたし自身は優先株ETFを保有していませんが、もし買うならPFFDを選ぶかなと思います

まとめ:暴落時に仕込めるなら買いたい

今回は優先株ETFの「PFF」を紹介しました。併せて、その他の優先株ETFも紹介しました。

ざっとポイントをおさらいしましょう。

  • 優先株は、普通株よりも優先的に配当を得られる
  • 5%前後の高い配当が期待できる
  • 債券に近い性質で、平時の値動きはなだらか
  • ただし金融危機では、株価が暴落しやすい

魅力的な高配当っぷりではありますが、株価の上昇は見込めません。トータルリターンでは、インデックス投資や普通株の高配当ETFに劣ります

かといって、国債のような低リスク債券とは違い、株式暴落時のクッションの役割も果たせそうにありません

一定の信頼を置けるちゃんとした商品だとは思いますが、中途半端感は否めません。優先株ETFをポートフォリオのメインに据えることはなさそうです。

ただし平時は値動きが少なく、安定して現金を吐き出してくれるマネーマシンとなれば、なかなか心強い存在ですよね。暴落のタイミングがあれば買ってみたい銘柄です。

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