RSIは使うと、ある株や為替が、「買われ過ぎて割高か」「売られ過ぎて割安か」を判断できるようになります。
投資は安く買って、高く売れば儲かるという単純な図式。というわけで、RSIは強力な分析ツールになります。しかも見方は超シンプルなので、とっても使いやすい。
この記事では、
- RSIとはなんぞや?
- RSIの計算方法
- RSIを使った売買タイミングの見分け方
を簡潔にまとめています。見分け方だけ覚えるのは事故の元なので、計算ロジックも押さえておきましょう。
使い方がカンタンが故に、RSIを愛用している人は多いと思いますが、盲信しすぎるとガッツリ損してしまう可能性もあります。RSIの使用上の注意点にも触れているので、最後までチェックしてもらえればと思います。
RSIとは?
RSIは”Relative Strength Index”の略。日本語では「相対力指数」と訳されます。
テクニカル分析の中では非常にメジャーで、その中でも「オシレーター系」と呼ばれるタイプの指標の中では代表格です。
オシレーターとは「振り子」や「振れ幅」の意味で、投資の世界では、「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断する指標となっています。
基本的な使い方は、
- みんなが買いまくって高値のときに「売る」
- みんなが売りまくって安値のときに「買う」
という具合に、トレンドの終わりを予測して「逆張り」に使います。
株式や為替の市場は、常に買い手と売り手がせめぎ合っています。さしずめRSIは「買い勢力」と「売り勢力」の綱引きを数値化したようなもの。
RSIは「0〜100」の数値で表され、
- 51~100:買い勢力が優勢
- 50:中立
- 0~49:売り勢力が優勢
を意味します。どちらか極端な値に偏ったときに、売買シグナルになります。
RSIの計算方法
RSIの計算方法は、実はかなりシンプル。計算方法を理解することで、RSIの意図するところを掴みやすくなります。
公式は次のようになっています。
RSIの計算式
RSI=100×[n日間の値上がり幅の合計÷(n日間の値上がり幅の合計+n日間の値下がり幅の合計)]
例えば、とある14日間の間に、次のような値動きをした株があったとしましょう、
日数 | 終値 | 値上がり幅 | 値下がり幅 |
1日目 | 1,000 | ||
2日目 | 1,020 | +20 | |
3日目 | 1,030 | +10 | |
4日目 | 1,050 | +20 | |
5日目 | 1,030 | -20 | |
6日目 | 1,040 | +10 | |
7日目 | 1,020 | -20 | |
8日目 | 1,010 | -10 | |
9日目 | 1,040 | +30 | |
10日目 | 1,050 | +10 | |
11日目 | 1,060 | +10 | |
12日目 | 1,080 | +20 | |
13日目 | 1,040 | -40 | |
14日目 | 1,050 | +10 | |
14日間の合計 | +140 | -90 |
この場合は、次のような計算になります。
RSI=100×[140÷(140+90)]=60.7
この例では、ざっと見ての通り、買い勢力が優勢になっています。RSIもそれを反映しています。
もしこの期間の全ての日で値上がりしていたら、RSIは100になります。逆に全ての日で値下がりしていたら、RSIは0になります。
ただそこまで極端なRSIになると、利食いする人が出てくるので、100や0という極端な数字は通常は起こりません。
RSIの設定値は「14」が一般的
RSIを計算するときは、任意の日数を選んでも良いことになっています。
ただ、RSIを考案したJ.W.ワイルダー氏が「14(日足であれば14日)」を推奨しているので、一般的には14が使用されています。
RSI含め、テクニカル分析は、一種の美人投票のような側面があります。みんなが「売られすぎだ!今が買いどき!」と思ったら、買い圧力で価格が上昇します。逆もまた然り。
他の投資家が一切使っていない独自の設定値は、テクニカル分析の本質から有効でないでしょう。多くの投資家が使っている設定値を踏襲した方が無難と思われます。
RSIを活用した売買タイミングの見分け方
それではRSIを使って、どのように売買タイミングを図るかを見ていきましょう。
その①:「50」を境にトレンドの転換を見る
RSIは50を中立として、50超は買い勢力が強く、50未満は売り勢力が強いということになります。
そのため、50の基準線を下から上に突き抜けた場合は、そこから上昇トレンドが始まる可能性を示唆しています。ここは「買い」のタイミングになり得ます。
逆に50の基準線を上から下に突き抜けた場合は、下落トレンドの始まりを示唆しています。ここは「売り」のタイミングになり得ます。
ただ本来のオシレーター系指標は、トレンドの終わりを察知して、逆張りするために使います。このようにトレンドの始まりを見つけて波に乗ろうとする使い方は、本流からはズレているでしょう。
その②:「70」は買われ過ぎ・「30」は売られ過ぎ
RSIでもっともよく利用されているのは、
- 70を超えたら買われ過ぎ:売りのタイミング
- 30を下回ったら売られ過ぎ:買いのタイミング
とする見方です。
投資の仕方によっては、80や20を閾値にする場合もあります。
RSIが50では、売り勢力と買い勢力が拮抗している状態です。それが70となった日には、買い勢力が、売り勢力をかなり上回っていることになりますね。
その流れがずーっと続けば、売り勢力は減りに減って、市場は買い勢力ばかりに。そうすると買い勢力だった人は、利益確定するために売り勢力に転じます。
それがRSIが70や80という状態で、そこから次第に売り勢力が増えていき、RSIはニュートラルの50に戻っていきます。
【注意】強いトレンド相場では機能しない
RSIは価格上昇の天井や、下落の底を察知して、逆張りを仕掛ける使い方が一般的です。それが、「70で売る」「30で買う」といった話になっています。
この戦法が効きやすいのは、一定の価格の幅(レンジ)を行ったり来たりする「レンジ相場」です。レンジ相場の中では、RSI通りに売買すれば、概ね逆張り戦法が功を奏します。
逆に上昇トレンドや下落トレンドになっているときは、RSIは信頼できる指標にはなりません。ちなみにこれは他のオシレーター系指標でも同じ話になります。
上昇トレンドであれば、買われ続けていくので、RSIが70以上で張り付いてしまいます。70になった途端に売ってしまっては、その後の値上がり分は機会損失になってしまいます。
下落トレンドの最中であれば、RSIが30になった瞬間に買ったとしても、その後も価格は下がり続けてしまいます。結果的にはあまり安く買えなかったことになってしまいます。
というわけで、RSI単体で売買タイミングを決めるのではなく、トレンド系のテクニカル分析(移動平均線やMACDなど)を併用することが大切です。
TradingViewでRSIを設定しよう
チャート分析には、「TradingView」というソフトがオススメです。めちゃくちゃ高機能なのに、無料でも使えます。(アカウント登録は必要!)
「TradingView」のインストールはこちらのページからどうぞ。
まずはじめに、画面上部の「Indicator」をクリックします。
「Built-ins」の中にある、「Relative Strength Index」を選びます。
画面下半分にRSIが現れました。デフォルトでは、30〜70の幅に色がついています。ほとんどの人はデフォルトのままで良いと思います。
設定を変更する場合は、「Settings」の歯車マークをクリックします。
赤枠で囲った変数を調整できます。他の変数はいじる必要はないかと。
ぜひ「TradingView」を使って、RSIを設定してみましょう!
代表的なテクニカル分析は「【知らなきゃいつか損する】長期投資でもテクニカル分析が使える理由とオススメ分析」で解説しています。どれも長期投資でも使用できる代物です。